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高校で図書委員を務める堀川次郎(ほりかわ じろう)と松倉詩門(まつくら しもん)。或る放課後、図書室の返却本の中に、押し花の栞が挟まっているのに気付く。小さく可愛らしい其の花は・・・猛毒の鳥兜だった。
持ち主を捜す中で、2人は校舎裏で、鳥兜が栽培されているのを発見する。そして、遂に男性教師が中毒で、救急搬送されてしまった。
誰が、教師を殺そうとしたのか?次は、誰が狙われるのか?「其の栞は、自分の物だ。」と噓を吐いて近付いて来た同学年の女子・瀬野(せの)と共に、2人は真相を追う。
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米澤穂信氏の小説「栞と嘘の季節」を読了。此の作品は「<図書委員>シリーズ」の第2弾(第1弾の「本と鍵の季節」には、総合評価「星3つ」を付けた。)「高校の図書委員・堀川次郎が返却本の処理をしている過程で、猛毒の鳥兜が押し花とされた栞を発見し、其の持ち主を同じく図書委員で友人の松倉詩門と探す内に、幾つかの“事件”が発生する。」というストーリー。
普通に目にする機会が多い植物の夾竹桃。桃色の花がとても奇麗だが、此の夾竹桃が非常に猛毒なのを大人になって知った。其の毒性は半端無く、此方に記されている様に、「花や葉、枝、寝、果実のみならず、周辺の土壌にも毒性が在る。更に恐ろしいのは、生木を燃やした際の煙も有毒。」との事。母から聞いた話では、「戦時中、親戚の家に数人の兵士達が逗留した際、彼等が知らずに庭の夾竹桃の枝を折って“箸”にして使った所、何人かが体調を崩して病院に搬送された。」と言う。
夾竹桃に比べれば、鳥兜の毒性は有名だろう。とは言え、「鳥兜=毒」なのは知っていても、「鳥兜の花が、どんな感じなのか?」を知っている人は、そう多く無い様に思う。「持ち主は、栞に押し花されたのが鳥兜と知っていたのか?」、「知っていたなら、何故、本に挟んだ儘だったのか?」、「栞を巡って発生した(と思われる)“事件”の目的は?」等、幾つかの謎を解いて行く訳だけれど、読み終えての感想は「良く判らないなあ・・・。」という物。真犯人も事件の動機も、正直言ってぴんと来ないので。
直木賞作家で在る米澤穂信氏の筆力の高さを非常に買っているからこそ、前作の「本と鍵の季節」以上に、今回の作品の駄目さ加減を強く感じてしまう。「全てに於て、設定が甘く感じてしまう。」ので。
総合評価は、星2.5個とする。