今から書く経験談は、全て45年近く前の事だ。
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・父の小学校時代の同級生が、自宅近くでラーメン店を開業した。そんなに親しい間柄では無かった様だが、同級生の店という事で、父は家族を連れて、開店日に其の店に足を運んだ。ラーメンを注文して食べたのだが、味は薄いは麺は硬過ぎるはで、「素人でも、もっと美味しいラーメンが作れるだろ。」と思ってしまうレヴェルだった。
・家族旅行で訪れた栃木県の有名温泉地で、そこそこ有名なホテルに宿泊した。書き入れ時では無いにせよ、館内は閑散とし、廊下は余りにも薄暗い。「何で?」と思って天井に目を遣ると、1つ置きに蛍光灯が外されていた。泊まった部屋は薄汚いし、料理は美味しく無いし、風呂も清潔さに欠けていて、「こんな酷い宿泊先、今迄無かったね。」というのが、家族のコンセンサス。
・有名な中華料理のチェーン店に、家族で食事に行った際の事。新規開店から間も無い様だったが、調理を担当する店員の手際が、恐ろしい程に悪かった。我々は調理場の前に設けられたカウンター席に座ったのだが、注文した料理が中々出て来ない。特に供されるのが遅かったのが焼き餃子で、焼き加減が上手く行かず、何度も何度も焼き直していた。妙に水っぽいし、臭みが強いしで、とても完食する気にはなれない代物だった。
・家族で牛久沼を旅行した際、昼時になったので、食事処を捜していた所、新規開店から間も無い雰囲気の鰻屋を発見。早速入店し、鰻丼を頼んだのだが、出て来たのが酷い代物だった。鰻は生焼けの部分が在り、御飯に血が滴っている。充分に焼かれていないかので、小骨も気になり、数口食べた時点で、家族全員が残してしまった。
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何れも、“高級な場所”では無い。庶民的な場所なので、値段は“安い”という範疇に入る。とは言え、幾ら安い範疇に入る場所とはいえ、余りにも酷い代物だった。
大昔は、こういう「安かろう悪かろう」という場所が珍しく無かった。そういう場所に出会すと、「所詮は、安かろう悪かろうだな。」と苦笑いした物。
でも、最近はそういう経験をする事が無くなった。正確に言えば、「コスト・パフォーマンスが低いな。」という場所に出会す事が無い訳では無いが、そんなには多く無いし、何よりも「“昔程の酷さ”は無い。」という感じ。
消費者サイドの目が厳しくなった事に加え、矢張り“インターネットの普及”が大きいのだろう。「安かろう悪かろう」のレヴェルが行き過ぎた場所は、速攻でネットに書かれ、そして拡散されてしまう。其の結果、そういう場所は、時間を置かずに“潰れ”てしまうのだろう。