ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「民王 シベリアの陰謀」

2021年12月04日 | 書籍関連

ミステリー関連の年間ブック・ランキングで、自分が注目しているのは「本格ミステリ・ベスト10」(発行元:原書房)、「週刊文春ミステリーベスト10(発行元:文藝春秋)、そして「このミステリーがすごい!」(行元:宝島社)の3つ。昨日、「2021週刊文春ミステリーベスト10内編】」を紹介したが、今日は「このミステリーがすごい! 2022年版」の内編を紹介する。

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「このミステリーがすごい! 2022年版【国内編】」

1位: 黒牢城著者米澤穂信氏)
2位: 「テスカトリポカ」(著者:佐藤究氏)
3位: 「機龍警察 白骨街道」(著者:月村了衛氏)
4位: 「兇人邸の殺人」(著者:今村昌弘氏)
5位: 「蒼海館の殺人」(著者:阿津川辰海氏)
6位: 「invert 城塚翡翠倒叙集」(著者:相沢紗呼

7位: 「忌名の如き贄るもの」(著者:三津田信三氏)
8位: 「六人の嘘つきな大学生」(著者:浅倉秋成氏)
9位: 「硝子の塔の殺人」(著者:知念実希人氏)
10位:「雷神」(著者:道尾秀介氏)
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「2021週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」同様、「このミステリーがすごい! 2022年版【国内編】」でも「黒牢城」が1位に選ばれた。残る「本格ミステリ・ベスト10」で1位に選ばれる作品は、果たして何なのだろうか?

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マドンナウイルス?何じゃそりゃ?」。第2次内閣発足させた許りの武藤泰山(むとう たいざん)を、絶体絶命のピンチが襲う。目玉として指名したマドンナ、高西麗子(こうさい れいこ)・環境大臣が、発症すると凶暴化する謎のウイルスに冒され、急速に感染が拡がっているのだ。緊急事態宣言発令し、終息図る泰山に、世論の逆風が吹き荒れる。

一方、泰山の馬鹿息子・翔(しょう)は、仕事で訪れた大学の研究室で、“狼男化”した教授に襲われる。マドンナと教授には共通点が!?泰山は、翔と秘書の貝原等と共に、ウイルスの謎に迫る。
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池井戸潤氏の小説民王 シベリアの陰謀」は、2010年に上梓された「民王」の続編。「民政総裁首相でも在る武藤泰山と、彼の馬鹿息子で在る翔の“人格”が入れ替わってしまう。」という、映画転校生」の様な設定だったのが、前作の「民王」。そして、今回は「『マドンナ・ウイルス』の流行という未曽有国難に、武藤親子が立ち向かう。」という設定。

新型コロナウイルス感染症が流行する以前だったら、「こんな荒唐無稽な話は無い。」と一笑に付してしまう内容だろう。でも、考えられない様な事態が次々に起こっている今ならば、「在り得ない。」とは言い切れない

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「それはつまり、ウイルスに感情を乗っ取られて、歴史が変わることもあるってことですか。」。翔がきくと、ヒトヘルペスウイルス6というのがあるんです。。紗英(さえ)はいい、デスクにあった写真をとって翔たちに見せた。丸い外形。その内側に黒い輪をもったウイルスだ。このウイルスには、ほとんどの人が子供の頃に感染するんだけど、最近の研究で、このウイルスが、うつ病を引き起こすタンパク質を作り出していることがわかってきました。いってみれば、人の心を操作するウイルスね。。「ウイルスが原因でうつ病が引き起こされるのか。」。さすがに翔も驚かないではいられない。いまはまだ研究中で解明されていないことも多いけど、このウイルスに感染した人の体力が落ちて弱ったりすると、それがの『嗅球』という部分に再感染してうつ病を引き起こすんじゃないかという説があるんです。免疫力が弱いと、うつ病になる可能性がある。
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「民王」には、其のモデルとなった人物が思い浮かぶキャラクターが何人か登場したけれど、今回の小中寿太郎(こなか じゅたろう)・東京都知事のモデルは、恐らく竹村健一氏だろう。非常に個性的な人物では在ったけれど、何故彼をモデルにしたのかは不明。彼をモデルにしつつ、設定はどう考えても「パフォーマンス大好きで、中身の無い現都知事。」とそっくりなのが笑える

謎解きという点では、物足りない部分が在るけれど、首相の馬鹿息子・翔が、今回の作品でも“人として成長”して行くのは、読んでいてホッとさせられる面が。そして、最後の最後に下す、彼の意外な決断。続編が楽しみだ。

総合評価は、星3つとする。


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