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「ポーランド、ドイツに戦争賠償180兆円請求 独政府は応じず」(9月2日、AFPBB News)
ポーランドは1日、「第2次世界大戦で同国が受けた損害は、6兆2,000億ズロチ(約180兆円)に上る。」と推定する報告書を発表し、賠償請求を巡る交渉をドイツに求める方針を示した。
此の日は、1939年のナチス・ドイツ(Nazi)によるポーランド侵攻から、丁度83年に当たる。ポーランドの事実上の指導者とされる与党「法と正義(PiS)」のヤロスワフ・カチンスキ党首は、報告書を発表した会議で、賠償金の大部分は「520万人以上のポーランド国民の死に対する。」物だと説明。人的損失の額は、各個人が生涯収入として国内総生産(GDP)に寄与出来た筈だった額に基づき算出された。物的損失は、8,000億ズロチ(約24兆円)と推定されている。
PiSは2015年の政権獲得以来、戦争賠償の問題を繰り返し訴えて来た。だがドイツは、「1953年に、ポーランドが旧東ドイツへの賠償を放棄している。」事を理由に、賠償支払いを否定。独外務省報道官は1日、AFPへの電子メールで、「ドイツ政府の立場は変わらず、賠償問題は解決している。」として、交渉には応じない姿勢を示した。
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去年の記事「虐めた側は忘れても、虐められた側は一生忘れられない」で書いた様に、自分は“虐めた経験”も“虐められた経験”も共に在り、だからこそ何方の立場も理解している積りだ。そういう立場から言えば、「虐めた側は虐めた事実を忘れてしまい勝ちだけれど、虐められた側は虐められた事実を一生忘れない。」というのは事実だと思う。其れ程、“被害者の恨み”は強いのだ。
「戦争被害者が、其の恨みをずっと忘れない。」というのも、そういう意味で理解は出来る。「既に謝罪したのだから、もう恨み言を言うな!」みたいな事を、戦争加害者の側が戦争被害者の側に対して言ったりするけれど、自分が逆の立場だったら、同じ様な事を言えるだろうか?「何度も何度も謝罪を繰り返す必要は無いけれど、『(自分、又は先人達が)申し訳無い事をした。』という思いは、心の中に留めておくべき。」だと思う。
今回の請求額約180兆円は、ドイツの年間国家予算の約3倍に当たるのだとか。べらぼうな金額も然る事乍ら、「80年近く前の戦争賠償を、其れも既に決着が付いているにも拘わらず持ち出して来る。」というのは納得が行かない。戦争加害者としての申し訳無い思いを持ち続ける事と今回の話は、全く別物として考えなければならない。
「支持率が下がっているPiSが、仮想敵たるドイツに対して強硬な要求をする事で、支持率アップを目論んでいる。」というのが、実際の所だろう。
此れは、「韓国が日本に対して主張している『徴用工訴訟問題』。」も同じ。双方共に感情的にならず、論理的に解決すべき事(「既に決着している事を、再び蒸し返すのはNG。」と、毅然とした態度で主張し、相手を納得させる。)で在る。