先月7日、半導体大手「キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス、)」が「手塚治虫氏の漫画を学習した人工知能(AI)が、ストーリーやキャラクター・デザインを担当した新作『ぱいどん』を、講談社が27日発売する『モーニング』に掲載する事が決まった。」と発表したのを受け、同日の記事は「興味は在るけれど、“別物”は“別物”」というタイトルに。
其の中で「昨年、NHKで放送された“AI(人工知能)版美空ひばり”【動画】には肯定的な声が在った一方で、『不気味だ。』等の否定的な声も少なく無かった様だ。自分も『AIを含めた技術力の進歩って、本当に凄いな。』と感心はしたものの、AI版美空ひばりの歌声からは“魂”が全く感じられず、『技術力の進歩によって、非常に似た存在を作り上げたとしても、所詮“別物”は“別物”。』という思いになった。」事を記した。「どういう経緯で、AI版美空ひばりは作られる事になったのか?」を取り上げたドキュメンタリー番組も見ていたので、“作り手立の熱い思い”は理解していたが、其れでも自分には心に響く物が無く、AI版美空ひばりに否定的な思いが。
過去に何度か書いているけれど、自分は手塚治虫氏の大ファン。幼い頃より彼の漫画を読み漁り、出版された作品は略100%読んでいる。「自分の知識や考え方は、手塚作品によって作り上げられた。」と言って良い程。手塚氏が亡くなって以降、何人かのクリエーターが手塚作品の“続編”を描いている。浦沢直樹氏の作品「PLUTO」(手塚作品「鉄腕アトム」の「地上最大のロボット」が原作。)の様に、手塚氏と絵柄が全く異なるけれど、評価出来る物も在ったけれど、他は評価出来なかった。「奥深いストーリーも然る事乍ら、一目で判る独特な絵柄(顔の丸っこいラインや個性的な目の描き方等。)が手塚作品の大きな魅力。」と思っているので、(絵柄を手塚氏と似せ様と努力しているのだろうけれど)“微妙な違い”がどうしても気になってしまい、評価出来なかったのだ。
「ぱいどん」は「手塚治虫作品の世界観や登場人物像を学習、分析したAIが新たなシナリオやキャラクターの顔デザインを生成し、人間のクリエーター陣が肉付けして完成させた。」という事で非常に興味は在ったけれど、AI版美空ひばりの件も在り、「どんなに手塚作品に似ていたとしても、『所詮、“別物”は“別物”。』という思いが、読み終えた後に残るのではなかろうか。」と記した自分。
昨日、「ぱいどん」を読んだ。「参りました!」というのが、正直な気持ち。「手塚氏の未発表作品が見付かった。」と言われたら、疑う事無く信じてしまうレヴェルだ。第1回を読んだ限りでは手塚作品と同じ世界観を感じるし、何よりも絵柄が手塚氏其の物。偉そうな事を書いたので悔しいが、「ぱいどん」に付いては「所詮、“別物”は“別物”。」と言えない。“AI版手塚治虫”の描く続きが、実に楽しみだ。