各地に大きな爪痕を残し乍ら、日本列島を縦断している台風19号。今年最強の台風という事で、昨日から何度も其の進路を確認しているのだが、「台風19号」に「ヴォンフォン」と併記されているのが気になった。
一定年齢以上の方ならば、「キャサリン(カスリーン)台風」という呼称を御存知の事だろう。1947年9月に発生し、関東地方や東北地方に大きな被害を齎した台風で、日本での死者及び行方不明者の数は併せて1,930人にも上った。
此の様に昔は、アメリカが台風に“女性名”が付いた呼称を付け、他の国でも其の呼称を用いていた。「当時、台風観測の為、アメリカ軍の兵士が飛行機に乗って台風の中に入り、台風の中心から観測機器を投下するという危険な方法を取っており、少しでも気持ちを落ち着かせ様と、彼等が恋人や妻の名前を台風に付けて呼んだのが始まり。」と言われているが、其の後、「“男女同権”の観点から、台風に女性名許りを冠するのは如何な物か?」という声が強まり、1979年以降は男性と女性の名前が交互に用いられているそうだ。
此方の情報によると、台風の呼称には「番号方式」と「リスト方式」の2つに大別される。日本は「番号方式」を採用しており、其の年の発生順に通し番号で呼ぶ形。一方、「リスト方式」は、世界の気象機関が設置する委員会が決定した呼称を用いる。上記した「キャサリン台風」も「リスト方式」による物で、現在、世界では此の方式が主流の様だ。
で、話を元に戻すが、今回の台風19号に併記されている「ヴォンフォン」は「Vongfong」と記し、中国語で「雀蜂」を意味する。
従来、台風にはアメリカが人名を冠した呼称を付けていたが、「北西太平洋、又は南シナ海で発生する台風防災に関する各国の政府間組織。」で在る台風委員会(日本を含む14ヶ国が加盟。)は、「2000年から北西太平洋、又は南シナ海の領域で発生する台風には、同領域内で用いられている固有の名前(加盟国等が提案した名前)を付ける。」事になり、「ヴォンフォン」は(加盟国の1つで在る)マカオが命名した、台風委員会としては63番目の呼称。
此れ等の呼称、台風が発生してから考案されるのでは無い。各国が命名した呼称を台風委員会がリスト化し、其れ等を順番に用いている。リストには140の呼称が載っており、最初に用いられたのは、カンボジアが命名した「ダムレイ(Damrey)」で、「象」を意味している。力強い象は、台風のイメージと合う。140番目の呼称を用いた後は、又、1番目の「ダムレイ」に戻るのだとか。
此方に140の呼称が紹介されているけれど、中には「何でこんな呼称を、台風に命名したんだろう?」と首を捻ってしまう物も結構在る。「磯巾着」、「天秤座」、「蟻」、「プリン」、「夕焼け」、「徘徊」、「薔薇」、「鬱金」等がそうだが、実に不思議。
室戸台風、伊勢湾台風・・・最近はこのような呼び方をしなくなったように思いますが、何か理由があるのでしょうか。
単に「台風○号」というよりも、「室戸台風」だとか「伊勢湾台風」だとかの方が、パッと其の概略が思い浮かぶ人は多いでしょうね。
此方(http://www.bo-sai.co.jp/typoon.htm)の真ん中辺りに記されている「台風の名前」という所を読むと、「被害が甚大な場合、台風に上陸地の名前を冠する。」というのが廃止された訳では無い様ですが、何故か近年は耳にしない。「同じ場所乃至は其の近辺に上陸する事が多く、そうなると同じ乃至は似た様な呼称が乱立してしまい、判り難くなる事を懸念して、使用されなくなったのかなあ。」と、推測したりもします。