通算盗塁数及びシーズン盗塁数の日本記録保持者(何れも、MLB記録を超えた時期が在る。)で、“世界の福本”の異名を持つ元プロ野球選手の福本豊氏。盗塁のMLB記録を超えた際、当時の中曽根康弘首相から国民栄誉賞授与を打診されたが、固辞した。「自分は、野球人の手本になれる様な人間では無い。」というのが固辞の理由で、「(そんな立派な賞を貰ったら)立ちションも出来ん様になる。」と語った事が報じられたのは、非常に有名な話。
そんな福本氏の話が、先日発売された週刊誌に載っていた。「福本氏の偉業を称え、“読売グループ”が彼の銅像を建てる事を打診した所、福本氏が固辞した。」と言うのだ。取材に対し、「事実。」と認めた福本氏。国民栄誉賞授与を固辞したのと同じ理由を述べ、「銅像なんて建てて貰ったら、立ちションも出来なくなる。」と“ギャグ”を口にしていたが、彼の考えには賛同出来るし、清々しさすら感じる。「『そんな奴居ったなあ。』と自分の事を、ふっと思い出してくれれば良い。」という趣旨の事を話していたが、流石“世界の福本”だ。
一方、“権威付けの為の賞”が大好きな人も存在する。今は亡き某女優も、そんな1人だ。「晩年の彼女は、“国が授与する或る大きな賞”が欲しくて欲しくて堪らず、関係各所に働き掛けをしていただけでは無く、毎年、“其の賞の授与が発表される日”のスケジュールを記者会見の為に空けていた。」と言われていた。何年か経って、彼女は其の賞を授与されたのだが、記者会見の席で「こんな大きな賞を授与されるとは、全く思っても居なかった。私なんかが授与されて、良いのでしょうか?」といった趣旨の空々しい事を口にしていたっけ。
詳しくは書かないが(何の賞か判っても、コメント欄には書き込まないで貰いたい。)、止ん事無き人物をイメージさせるネーミングの賞が在る。だが、其の止ん事無き人物のみならず、公的な組織も全く関わっていない賞だ。色々言い訳をしている様だが、「欲しい人が自ら申請し、授与される際には授与パーティー開催費等、多額の“必要経費”なる物を、其の組織に払わなければならない。」というシステム。言っちゃ悪いが、「権威付けの為の賞を欲しくて堪らない人が、御金を払って買う賞。」という感じだ。
自身のサイト等で、「〇〇賞を授与されました!!」と誇らし気に“発表”している人が少なからず存在する。実態を知らずに“購入”したと思われる人も見受けられるが、マルチ商法としか思えないビジネスをしている人間等、胡散臭い連中が“客引き”の為に、此の賞をアピールに使っているケースも結構確認出来た。結局、権威が大好きな人達が、こういう賞に群がるのだろう。