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「【巨人】新外国人オドーア電撃退団 開幕2軍通達受け容れず帰国希望 開幕3日前に大激震」(3月26日、スポーツ報知)
巨人は26日、新外国人のルーグネッド・オドーア外野手(30歳)の退団を発表した。開幕メンバーから外れる為、2軍で調整する様提案した所、本人から「米国に帰国したい。」との申し出が在り、球団は意思を尊重して受け容れた。
開幕3日前の阿部巨人に、大激震が走った。オドーアはオープン戦12試合で34打数6安打、打率1割7分6厘、0本塁打、0打点。本来の力強い打撃は見られなかったが、直近の2安打は1塁への全力疾走で捥ぎ取った内野安打で、右翼の守備でもスライディング・キャッチを見せる等、懸命なプレーを見せていた。其れだけに開幕直前、公式戦に1試合も出場していない段階で、衝撃の展開となった。
レンジャーズ等でメジャー通算178本塁打。2022年迄、8年連続2桁本塁打をマークした左の長距離砲として期待され、推定年俸2億円の1年契約、背番号23で契約した。1月22日に正式発表となり、ビザ等の関係で来日は2月15日にずれ込んだ。宮崎での1次キャンプは参加せず、同16日の沖縄・那覇キャンプ初日から合流した。
巨人の歴史と伝統を事前に学び、口周りから顎の下迄長く伸びるトレードマークの髭は、ヤンキース時代と同様に、自らの意思でバッサリ剃った。「ジャイアンツに来られて興奮。」と決意を示していた。守備ではメジャー時代に1,000試合以上守った本職の2塁では無く、外野手登録となって、オープン戦は主に右翼手で出場。三塁手・坂本の休養時を想定して、3塁で出場した事も在った。
外野手争いは、キャンプから大激戦だった。現状1軍には佐々木、松原、萩尾、丸、梶谷、長野、浅野、重信が居て、オープン戦中に2軍降格となった秋広、オコエも巻き返しに燃えている。当初はオドーアが有力だった右翼は、梶谷等、状態の良い選手を起用して行く事になりそうだ。
チームは此の日、29日の開幕戦・阪神戦(東京D)に向けて、東京ドームで1軍全体練習を行った。其処にオドーアの姿は無かった。来日1年目の新外国人選手が、公式戦の開幕前に帰国、退団と成るのは前代未聞で、極めて異例。ファンから親しみを込めて「ルーギー」と呼ばれ、「新たな挑戦。」と意気込んでいたオドーアの巨人在籍は、約2ヶ月と余りにも短く、想定外の結末を迎える事に成った。
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「当初、レギュラー・メンバー、其れも“左の長距離砲”として期待していた外国人選手が、開幕3日前に退団。」というのは異例中の異例で在り、ジャイアンツに大激震が走ったのは確かだ。過去、ドン・マネー選手等、“トンデモ事件”を起こしただけの外国人選手は何人も存在したが、オドーア選手が新たな1人に加わったのは間違い無いだろう。
左の長距離砲としてオドーア選手の獲得がジャイアンツから発表された際、「メジャー時代の10年間の成績、本塁打178本は凄いが、打率が2割3分0厘と低く、三振が1,045と多いのが気になる。バットに当たれば本塁打に成るが、勝負弱い一面が在るんじゃないかなあ。」という不安が在った。案の定と言う戦でべきか、OP戦では1割7分6厘の低打率に喘ぎ、本塁打も零、そしてランナーとして牽制死を繰り返す等、「日本の野球に合わないんじゃないかなあ。」と思い始めていた矢先の退団劇。
オドーア選手は、現役メジャーリーガーとしてのプライドを持っていただろうし、「日本で活躍出来る。」という自信も在ったと思う。でも、彼が「日本の野球を舐めていた。」とは思いたく無い。実際、良い悪いは別にして、髭を剃り落とすという“ジャイアンツ流”に、自ら合わせる事をしていたのだから。本当の理由は本人のみぞ知るだが、「日本の野球が想像していた以上にレヴェルが高く、自信を喪失した。」というのが実際の所ではなかろうか。
外国人選手だけに言える事では無いが、「レギュラーの座を掴み取れる選手には、どんな環境にも対応出来る順応性の高さと、『俺が生きて行けるのは、此処だけしか無いのだ!』といった強い思いが必要。」な気がする。外国人選手で言えば、アレックス・ラミレス氏は何方も備わっていたし、大成功例と言って良い。
ジャイアンツに大激震が走ったのは事実だが、OP戦の状況を考えると、「オドーア選手が全く活躍出来なくても、チーム状態は悪く無い。戦力的に、昨季よりも遥かに期待出来る。」と自分は考えており、「オドーア選手の退団がチームに与えるダメージは、余り無い。」と思う。死んだ子の年を数えても詮無いし、「彼の退団によって他の選手達、特に若手選手がレギュラーを掴み取れるチャンスが出て来た。」と“禍を転じて福と為す”に成る事を期待したい。過去のジャイアンツの歴史を振り返ると、「レギュラー・メンバーとして活躍していた選手が、怪我等によって休んでいる間に、若手選手が代わりにレギュラーの座を掴み取った。」という事が何度か在ったし。