ヴァラエティ番組「探偵!ナイトスクープ」【動画】の人気コーナーの1つに、「視聴率調査」というのが在る。此の番組、関西では毎週金曜日の23時17分~土曜日の0時12分に放送されている様だが、其の時間に“探偵”(自分が知る限り、行くのは間寛平氏。)が突然幾つもの家を訪問し、放送中の「探偵!ナイトスクープ」を実際に見ている家庭が何れだけ在るのかを調査するという内容。
アポ無し、其れも深夜という事も在って、訪問された家の人達は素っぴんだったり、髪がワシャワシャだったり、ラフな格好だったりするのが一般的。でも、そんな感じでも、意外と多くの人達が探偵を家に上げている。関東で同じ事をしたら、恐らく上げる家庭は少ない様に思う。関西ならではのざっくばらんさと言えるだろう。
先日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会が無形文化遺産に、「男鹿のナマハゲ」(秋田県)等、8県の10行事で構成される「来訪神 仮面・仮装の神々」を登録する事を決定した。(「世界遺産や無形文化遺産等を、矢鱈と登録するのはどうか?」という思いも在る。「登録される事で、観光客を増やしたい。」という地元の思いは判るけれど、余りにも登録数が増えてしまうと、価値が下がってしまう気がするので。)
男鹿のナマハゲと言えば、「大晦日の晩、鬼の様な恐ろしい面を付け、藁等で作った衣装を纏ったナマハゲが、手に包丁や鎌(勿論、本物では無い。)を持ち、家々の中に入り込み、『泣く子はいねがー、親の言うこど聞がね子はいねがー。』等と叫び、彼等を見た子供達が泣き叫ぶ姿。」で有名。「子供達を怖がらせる事で、“社会の決まり事”を教える。」という面が在る、面白い行事だ。
そんな男鹿のナマハゲだが、危機的な状況に陥っていると言う。昔は“集落の若手”がナマハゲ役を担っていたが、此の世界でも“後継者不足”が進み、今ではナマハゲの担い手の平均年齢は70歳以上なのだとか。
又、訪問先で立ち入りを拒否される事も増えているとか。「部屋の中を見られるのは嫌。」とか「落ちた藁で部屋が汚れるのが嫌。」という拒否理由は、関東暮らしが長い自分には判らなくも無いが、「『泣く子はいねがー、親の言うこど聞がね子はいねがー。』等と叫ぶ事で、子供達を怖がらせるのは児童虐待だ!」として拒否する人も居るというのは、正直驚いてしまった。
登録されることによる観光客呼び込みの商品価値という意味では、何でもかんでも登録していくうちに、どんどん価値が下がって有難味が薄れる、というのはその通りだと思います。
むしろ登録されることによる文化的価値を、地元が再認識し誇りにつなげていく、という事の方が大事なのかも。
なまはげの来訪を拒否する理由に「児童虐待」を挙げる人がいるというのは、実際に自分がそのことでトラウマになっていて我が子には経験させたくないという事なのか、今どきの時流に乗って頭でそう考えているだけなのか、その辺がわかりませんね。
上っ面の時流に迎合して郷土の伝統文化が途絶えるとしたら、それこそ失われた遺産になってしまいかねません。
「古い物が、全て良い物。」とは思っていませんが、「古き良き物が、登録される事で、改めて広く知られる様になる。」のは良い事。唯、登録される事で「〇〇(登録された物に因む名称)饅頭」みたいな御土産物を矢鱈と製造&販売するだけとなると、そういうのは勘弁して欲しい。真の価値を上げるべく、良い意味での“深堀り”に繋がると良いですね。
「自身乃至は近しい者が幼少期、ナマハゲによってトラウマを生じ、今も其の思いを引き摺っている。」というので在れば、「ナマハゲ=児童虐待」と捉えるのは判らないでも無いですね。我が母の場合は幼少期、獅子舞の獅子が怖くて堪らなかったそうですが、今となっては「何であんなのが怖かったのだろうか?」と笑っていますけれど。