ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「休暇」

2008年06月15日 | 映画関連
「決してマイナーでは無いが、然りとてメジャーでも無い。そんな存在で在っても、自分にとっては忘れられない名曲。」を、過去4度紹介して来た。第五弾の今回は、幼少時に夢中で見ていたTV番組「新八犬伝」で、番組の最後に流れていた坂本九氏の「夕やけの空」(試聴)。心が折れそうになる程辛い時、この曲を口ずさんで自らを元気付けていたもの。坂本氏の持ち歌には名曲が多いが、この曲もその一つだ。

閑話休題

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刑務官の平井(小林薫氏)は職場で当たり障りの無い付き合いを続け、40歳を越えた今も独身だった。或る日、姉(りりィさん)の紹介でシングル・マザーの美香(大塚寧々さん)と見合いをする。仲人に乗せられ、会ったその場で2人の結婚は決まった様な雰囲気に。

しかし平井は、この結婚にささやかな希望を持っていた。死刑執行の際、下に落ちて来た死刑囚の身体を支える役を務めれば、1週間の休暇が取れる。美香を新婚旅行に連れて行きたい平井は、皆が嫌がる「支え役」を自ら志願するのだった・・・。
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死刑囚及びその死刑執行に立ち会う事となった刑務官達の姿を描いた映画「休暇」。刑務官を演じる小林薫氏に大杉漣氏、死刑囚を演じる西島秀俊氏と“寡黙系の役者”が顔を揃えているからでは無いだろうが、沈黙のシーンがやたらと多い作品だった。特に死刑囚が妹と面会するシーンでは、観ている側が焦れてしまう程に長い沈黙。必要以上の会話を盛り込む事で詳細に状況説明するよりも、沈黙シーンを多くする事で登場人物達の心の動き等を観ている側にあれこれ忖度させる効果を狙ったのだろうか?それなりの効果は認めるも、個人的には沈黙シーンを多用し過ぎた様に感じる。「過去のシーン」と「現在のシーン」が度々入れ替わっていたのも、状況把握をさせ辛くしていた様にも。

逆に効果的だったのは死刑執行のシーン。死刑台の上と下に居る人達を交互に延々と撮るのでは無く、下で死刑囚の身体を支える「支え役」の目線がメイン。頭上に死刑囚の乗る床が在り、其処に死刑囚が乗せられた際の「ガタガタ」という音。ほんの少しの静寂の後、凄まじい音と共に床が開き、死刑囚の身体が落ちて来る。苦しさから身体を左右に振る死刑囚を、2人掛りで必死に抑える刑務官。やがて動きを止める死刑囚の身体。死刑囚&刑務官双方の恐怖心が、ひしひしと伝わって来た。

気になる脇役の1人、大杉漣氏が良い味を出している。又、西島秀俊氏の演技が予想外に良かった。死刑をリアルに意識する前の淡々とした雰囲気から一変し、意識し始めて以降の激しく揺れ動く心。「自分が死刑囚だったら・・・。」と、彼の姿に自身を重ね合わせて観てしまった。

一貫して「死刑存続」を支持する自分だが、この作品を観終えてもその思いに全くの変化は無い。唯、死刑執行に立ち会った刑務官の手記を過去に幾つか読んでおり、その苦悩は理解しているつもりだったが、映像にする事でより深く感じる物が在ったのは事実。

総合評価は星3つ

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2 コメント

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随分生々しいですね (Spa supernova)
2008-06-18 14:18:46
日本が未だ、絞首刑を採用しているのは即死させる技術があるからだ、と読んだことがあったのですが、抑える係りがいるというのはビックリ。
正直死刑になる人よりも係りの人の苦痛(心理的及び、おそらく執行時のショックで受刑者の糞尿が出てしまう場合もあるのでそれがかかってしまう)のほうが大きいのではと思います。

そういえば宮崎勤の刑が執行されましたね。
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>Spa supernova様 (giants-55)
2008-06-18 22:58:51
書き込み有り難う御座いました。

死刑執行に立ち会った経験を持つ刑務官の手記を幾つか読んでおりましたので、「支え役」の存在は知っていたのですが、実際に映像として見ると生々しさは一入でした。

仰る様に、刑務官の心理的負担は相当な物だと思います。宮崎勤死刑囚等の刑が執行された訳ですが、こういったニュースが報道される度に感じるのは、死刑執行を認めた法務大臣や実際に執行した刑務官がさも悪人の如き捉え方をされてしまう事。彼等は法律に則り、粛々と己が職務を遂行している訳で、何等咎められる余地は無い。鳩山大臣の姿勢を自分は支持したいし、誰もが喜んではしたがらない職務を、国家安寧の為に粛々と行っている刑務官達の心のケアをきちんと行って欲しいものです。
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