当ブログで何度も書いている様に、自分は大の懐メロ好き。特に“自分が生まれる以前に流行った懐メロ”が好きで、そういう歌が扱われる懐メロ番組を好んで見ている。
8月27日に「近江俊郎氏、岡晴夫氏、小畑実氏、三浦洸一氏の歌ベスト3」、そして8月30日に「菊池章子さん、越路吹雪さん、二葉あき子さん、渡辺はま子さんの歌ベスト3」という記事を書いたが、今回は伊藤久男氏、岡本敦郎氏、林伊佐緒氏*1、そして藤山一郎氏という4人の歌手に関し、其れ其れのベスト3を選んでみた。彼等のヒット曲は多く、泣く泣く外した歌が在る事や、中には“カヴァー曲”が含まれている可能性が在る事を御了承戴きたい。
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=伊藤久男氏の歌ベスト3=
1位:「あざみの歌」【動画】
2位:「暁に祈る」【動画】
3位:「イヨマンテの夜」【動画】 / 「露営の歌」【動画】
=岡本敦郎氏の歌ベスト3=
1位:「白い花の咲く頃」【動画】
2位:「高原列車は行く」【動画】
3位:「朝はどこから」【動画】 / 「あこがれの郵便馬車」【動画】
=林伊佐緒氏の歌ベスト3=
1位:「ダンスパーティーの夜」【動画】
2位:「高原の宿」【動画】
3位:「出征兵士を送る歌」【動画】 / 「男なら」【動画】
=藤山一郎氏の歌ベスト3=
1位:「影を慕いて」【動画】
2位:「長崎の鐘」【動画】
3位:「酒は涙か溜息か」【動画】 / 「懐かしのボレロ」【動画】
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*1 作曲家としても知られる林伊佐緒氏は、「リンゴ村から」【動画】や「長崎の女」【動画】、「てなもんや三度笠」【歌】、「南の島に雪が降る」【歌】等を手掛けている。
どの曲も大好きですね。文句なしです。
伊藤久男は「イヨマンテの夜」が特に好きですね。伸びのあるバリトンの歌声には魅了されます。追加するなら、「熱砂の誓い(建設の歌)」も好きな曲です。「父よあなたは強かった」もいいですね。
岡本敦郎は私が子供の頃、「高原列車は行く」のレコード(SP盤)が家にあって、父がよく聴いていたものですから、それで私もファンになりました。
藤山一郎はヒット曲がいっぱいあって迷いますね。giants-55さんが選ばれた4曲以外にも、「丘を越えて」「東京ラプソディ」「青い背広で」それにデュエットですが「青い山脈」と、名曲揃いです。
で、林伊佐緒さんですが、丁度今年の6月、いつも見ているテレビ番組「昭和は輝いていた」で林伊佐緒さんを取り上げていました。いろいろと貴重な話も聞けましたので、一部紹介します。
ゲストに「林伊佐緒を偲ぶ会」会長の山根さんという方が来られてました。1982年生まれというお若い方なのに会を立ち上げるなんて、素敵な事ですね。もう一人のゲストは林伊佐緒さんの息子さんでした。
番組では林さんを、「シンガーソングライターの元祖」と紹介していました。確かに歌手でありながら作曲もする、今で言うシンガーソングライターの草分と言えるでしょうね。当時は「歌手が作曲するなんて」という非難が著名な作曲家からもあったそうです。歌手を一段低く見ていたのでしょうね。すると所属するキングレコードがこれに対し、「当社は初めから歌手と作曲家の両方の契約をしています。なんんなら貴方も歌手になられては」とやんわり皮肉ったそうです。
「ダンスパーティーの夜」についても面白いエピソードが。林さんは映画が大好きで、戦前のフランス映画「舞踏会の手帖」(ジュリアン・デュビビエ監督)をイメージして作曲し、「舞踏会の夜」の題名でレコードを出しましたが、まったくヒットしませんでした。しかし林さんは、いい曲だから絶対ヒットすると信じ、題名を「ダンスパーティーの夜」に変えて再発売した所、大ヒットとなりました。
もう一つ面白いのは、林さんがある時地方で、民謡「真室川音頭」を聞いて大変気に入り、これをジャズにアレンジしたら面白いと考え、笠置シヅ子さんのブギが流行っていた頃なので「真室川ブギ」としてレコードを出し、これもヒットしました。私もこれ、好きな曲です。他にも「草津ブギ」「串本マンボ」など、民謡ジャズ・アレンジ曲を集めたLPレコードも出しています。
春日八郎さんに提供した「長崎の女」は林さん自身も歌っており、番組では春日さんが1番を歌った後、2番を林さんが歌った貴重なビデオも見せてくれましたが、声量の豊かさとボリュームでは林さんが圧倒してましたね。
伊藤久男さんにしても、林伊佐緒さんにしても、当時の歌手はなんてスケールの大きな声量なんでしょうね。しかも林さんが歌う時はいつもマイクスタンドから70センチくらい離れてます。それであの声量。改めてその偉大さを認識させられた番組でした。
菅原洋一氏は好きな歌手の1人ですが、あんなにも美しい歌声だったのに、近年は声が掠れた感じになっており、凄く残念です。
とは言え、彼の年齢を考えれば、良く声が出ている方だと思いますし、「年を重ねる毎に、声帯が衰えて行っているのが判る。如何に衰えのスピードを遅らせるか、必死でトレーニングしている。」という趣旨の発言を御自身がされていた様に、肉体の衰えと言うのは如何ともし難いのでしょうね。
何故、こんな話を書いたとか言えば、「あんなに声量が在り、衰える事なんか無いのでは?」と思っていた藤山一郎氏や伊藤久男氏ですらも、最晩年は明らかに衰えが出ていた。特に伊藤氏の場合、濁声の様な感じが出たりしていて、仕方無い事とは言え、凄く寂しさを感じた物です。
母は歌が大好きで、所謂「歌う会」に数多参加して来たのですが、其の中の1つに「クラブツーリズム」が主催する物が在りました。母は参加した事が無いのですが、実は岡本敦郎氏が"講師"を務める物も在ったそうで、穏やかで陽気な人柄も在り、其の会は凄く人気が在ったそうです。
今回の記事で言えば、選曲が一番難しかったのは藤山一郎氏でした。書かれておられる様に、名曲三昧の方でしたので。
Kei様が書かれておられる林伊佐緒氏を特集した「昭和は輝いていた」、自分も見ました。知らない話も少なく無く、実に興味深い内容でしたね。
初めて書く事なのですが、母方の祖母が若かりし頃、林氏と少々知己の関係に在ったそうで、母を通じて当時の話を聞いた事が在ります。