昨日の新聞に、「人が減る! ニッポン力で挑む① 20XX年、高齢者は日本を去った。」という特集記事が組まれていた。12年前にバイク事故で脊髄を損傷し、四肢麻痺状態となった現在67歳の男性の話だ。彼は今、フィリピンの介護施設に居る。此処で1ヶ月前から、1対1の完全介護を受けているのだ。
事故以降、彼は幾つもの病院や施設を転々とした。「人間らしく生きたい。」と思い続ける彼にとって、日本には行き場が無かったという。或る施設では床ずれの痛みの堪えかねられず呼び出しボタンを何度押すも、全く無反応だった。苦情を言うと、「他に行く所無いよ。」と一喝されたという。彼は、「身体さえ動けば。」と何度も思った。そうすれば、窓から飛び降りて死ねるからと・・・。
結局、彼は人間らしく生きられる場所として、異国の地を選んだ。嘗て仕事で使っていた英語が通じるし、約200~300万円の終身入居金を前払いすれば、完全介護の環境下であっても毎月10万円以内で暮らせるからだ。彼の年金受給額である約24万円/月で足りるどころか、貯金も出来る状況なのだ。「今の日本では満足な介護を受けられない。」と彼は声を荒げる。彼の様に海外に救いの道を求める要介護者は少なくない様だ。
昨年、年金生活者の海外移住が増えているという番組を見た。ニュージーランドやフィリピン等、様々な国で生活を送る年金生活者の姿があった。一番印象に残ったのは、ブルガリアで生活する夫婦の姿だった。庭付きの一軒家を借りて、夫婦で月5万円で生活出来てしまうのだそうだ。年金から生活費を差し引いた残金を貯金に廻し、その額は年間200万円近くになるという。
海外に生活拠点を移しているのは年金生活者だけではない。若い世代の中にも、日本の不景気や先行き不安に見切りを付けて、経済成長著しい中国等に就職先を求めて旅立つ者が増えているという。賃金体系からすれば、日本よりも遥かに劣っているのにだ。
全てのケースに言える事だが、海外移住=薔薇色の生活と捉えるのは早計であるのは確かだ。医療の問題、言語の問題、治安の問題、食事の不安、ビザの問題、宗教の違い等々、不安点も決して少なくはない。しかし、それでも母国を捨てて海外に生活の拠点、人によっては終の住み処を求めて旅立つ人が増えている。
人間らしく生きたい。彼等が母国を捨てるという重大決意を成した根底には、この思いが有るのではないだろうか。日本の空洞化は、経済だけの問題ではない。精神面に於いても、空洞化は確実に進んでいるのだ。
事故以降、彼は幾つもの病院や施設を転々とした。「人間らしく生きたい。」と思い続ける彼にとって、日本には行き場が無かったという。或る施設では床ずれの痛みの堪えかねられず呼び出しボタンを何度押すも、全く無反応だった。苦情を言うと、「他に行く所無いよ。」と一喝されたという。彼は、「身体さえ動けば。」と何度も思った。そうすれば、窓から飛び降りて死ねるからと・・・。
結局、彼は人間らしく生きられる場所として、異国の地を選んだ。嘗て仕事で使っていた英語が通じるし、約200~300万円の終身入居金を前払いすれば、完全介護の環境下であっても毎月10万円以内で暮らせるからだ。彼の年金受給額である約24万円/月で足りるどころか、貯金も出来る状況なのだ。「今の日本では満足な介護を受けられない。」と彼は声を荒げる。彼の様に海外に救いの道を求める要介護者は少なくない様だ。
昨年、年金生活者の海外移住が増えているという番組を見た。ニュージーランドやフィリピン等、様々な国で生活を送る年金生活者の姿があった。一番印象に残ったのは、ブルガリアで生活する夫婦の姿だった。庭付きの一軒家を借りて、夫婦で月5万円で生活出来てしまうのだそうだ。年金から生活費を差し引いた残金を貯金に廻し、その額は年間200万円近くになるという。
海外に生活拠点を移しているのは年金生活者だけではない。若い世代の中にも、日本の不景気や先行き不安に見切りを付けて、経済成長著しい中国等に就職先を求めて旅立つ者が増えているという。賃金体系からすれば、日本よりも遥かに劣っているのにだ。
全てのケースに言える事だが、海外移住=薔薇色の生活と捉えるのは早計であるのは確かだ。医療の問題、言語の問題、治安の問題、食事の不安、ビザの問題、宗教の違い等々、不安点も決して少なくはない。しかし、それでも母国を捨てて海外に生活の拠点、人によっては終の住み処を求めて旅立つ人が増えている。
人間らしく生きたい。彼等が母国を捨てるという重大決意を成した根底には、この思いが有るのではないだろうか。日本の空洞化は、経済だけの問題ではない。精神面に於いても、空洞化は確実に進んでいるのだ。
新年早々、寂しい気持ちになる記事でしたね。以前より、老後の豊かさを求めて海外移住するという話は聞いていたのですが、介護を求めてというのは...
その反面、高齢者向けのビジネスが下火ということではなく、ウチの近所にもベネッセが経営する豪華なケアハウスができました。入居時点で850万、月額13万くらいのようです。
高齢者の「終の住み処」にまで、格差が大きくなりつつあるのでしょうか。
今年もよろしくお願いします。
実際、一人で3人~5人も看なければいけない日本の施設では、
介護職員の方がストレスと疲労でやられることもしばしばです。
こと若い職員などは、続かずにすぐに辞めてしまうとのこと。
これでは、満足のいく介護はできませんよね。
日本よりは安いから、と海外に出ると、
そこの国の施設を搾取することにもなりかねません。
できれば、日本の福祉レベルをもっと上げて欲しいです。
無駄なところには、いっぱいお金を遣ってるんですから・・・
TBありがとうございました!
北欧はそういう点がものすごく優れていますね。
日本も、高齢化社会という現実がありながら、まだまだ不安を持って暮らさなければならない現状。福祉関係はこれからもっと注目すべきですよね。いずれ自分達にも降りかかることですから。
トラックバック、ありがとうございました!
高齢者の事を考えていませんでした。
ちょっと視野が狭くなっていた事に気付きました。
ありがとうございます。
「日本の空洞化」や「母国を捨てる」という言葉も
少し考えていきたいと思います。
せめて「母国を去る」であって欲しい、と願います。
私は、政治に無いのは「ビジョン」だと思います。
その場限りの先送りばかりで、「どうしたいのか」が全くありません。
年金も結局先送りです。親の世代がありますので、その分だけ取って、あとは引かないことにし「あんたらで考えて」とされたほうがマシです(て、それなら一銭も戻ってこない?)
この国をどうしたいのかも見えません。
この国は今後どうして食っていくのかの考えもありません(教育を見れば一目瞭然)。
建設を完全否定はしませんが、そのニューディール的手法も景気刺激効果は殆どなくなりました。
建設国債は「橋などが子孫に残り」いい国債、といいますが、作ったら管理費が要るんです。
私はその金を福祉などに回すと宣言して欲しいです(施設建設もいくらかはあるでしょう)。「建設業はボチボチ小さくなるよ。福祉国家になるよ」と大転換を迫るのです。
でも、建設業の票ばかりあてにして先送りを続けるのでしょう。
私も上記の理由もあり将来は海外に住んでみたいと、半分くらい思っています。
ただプロ野球と美味しいラーメン屋が無いことが、私の後ろ髪を引っ張る最大要因というのは少し悲しいです。
日本が本当に住みやすい国になるのがベストなのですが、あまりにも行政も自治もプアーで、分かっていてもどうすることもできないという感じでしょうか?
これじゃあ、いかんでしょう。 個人的には市民運動の中から新しい相互扶助の流れが生まれるのを期待するのですが。
TBありがとうございました。
うちの義母も年末に入院したのですが、今時の病院ってホテルみたいですね。
ただ、無駄が多い感じです。
中のスタッフもイマイチで・・・・食事もまずいし(><)
娘が通う病院はお寺さんが経営していて(信者ではありませんが)、建物はボロボロですが、中の人にお金をかけている感じです。
食事も業者ではなくそこで作っています。
おいしいです。
建物がボロでも人が大事ですね。
その病院を変えるつもりはありません。