ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

ドナルド・トランプ氏の勝利を受けて

2016年11月10日 | 政治関連

今年6月、イギリスで「欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票」が行われた際、「色々言われていたけれど、蓋を開けてみれば残留支持派が、僅差で勝利するだろうな。」と思っていた。投票直前の世論調査でも、残留支持が若干上回っていた事も在ってだが、開票してみたら離脱支持が約127万票も差を付けて勝利し、離脱へと向かう事になったのは、本当に驚きだった。

 

今回行われたアメリカ大統領選挙では、共和党ドナルド・トランプ氏と民主党ヒラリー・クリントン女史デッド・ヒートを繰り広げていたが、「何や彼や言っても、最後はヒラリー女史が勝利するだろう。」と思っていたので、トランプ氏が結構な差を付けて勝利した事は、イギリスのEU離脱決定以上の衝撃が。

 

選挙戦の間、世界各国に対して言いたい放題して来たトランプ氏。日米安全保障条約に基づき、アメリカ軍米軍が日本防衛の支出している国防費の全額負担を、日本に対して要求する。」と主張していた彼だけに、日本も多くの問題に直面する事になろう。

 

だが、「トランプ氏が大統領になる事で、安倍晋三首相は苦しい状況に追い込まれるだろう。」という考え方も在る様だが、個人的にはトランプ大統領誕生は、安倍首相を利する事になるだろう。と、逆の考えを持っている。更なる軍事力増強図りたい安倍首相としては、「トランプ大統領が『自分のは、自分で守れ。』と言っているのだから、軍事力をもっと増強しなければならない。」というエクスキューズが出来るし、世界的な潮流と同様の“内向きさ”を強める日本に在っては、「あんなとんでもない人物が大統領になった以上、“内部結束”しないといけない。」と、安倍政権の支持率も上がるだろうから。

 

選挙中、破茶滅茶な主張を繰り広げていたトランプ氏。実際に大統領に就任したら、どうなるのだろうか?“フィリピンのトランプ”と呼ばれ、同様に選挙中は破茶滅茶な主張を繰り広げていたフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の場合、大統領就任後も過激な発言は続けているものの、意外と計算高い所が見えて来た。「アメリカ中国天秤に掛け双方から“実利”を得様としている。」なんていうのは、実に強か

 

一方、トランプ氏の場合は、具体的な政策が見受けられず、周りに実務面で真面ブレーンとなれそうな人材なさそう。選挙中の数々の暴言により、共和党内にも“敵”が多い人物だけに、最大にして唯一の武器で在る“過激な言動”を続けて行かないと、政権維持は困難になるのではないか。そういった意味で、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領とは違う気がする。

 

今回の選挙結果を受け、色々思う所が在ったので列挙してみたい。

 

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・アメリカ内の世論調査では、「約70%の国民が今の生活に不満を持ち、又、約60%が『国は、間違った方向に進んでいる。』と答えたそうだ。そういう閉塞感溢れる中、トランプ氏もヒラリー女史も嫌いだが、ヒラリー女史が大統領になった場合、何も変わらなそう。トランプ氏の発言は不快だが、何か変えてくれそう。という思いが、アメリカ国民の少なからずに在ったのかもしれない。

 

差別的な主張を連発するトランプ氏に抵抗は在るものの、其れ以上に既成政党特権階級への憤り覚える国民が多く、そんな彼等にとっては「既成政党で長らく政治活動を行い、特権階級のイメージが強いヒラリー女史(実際には、トランプ氏も特権階級の1人なのだけれど。)。」よりも、トランプ氏の方が好ましく感じたのだろう。

 

街頭インタヴューでトランプ氏を支持する声の中には、「ヒラリー女史は嘘吐きだから。」とか「メール問題で、彼女を信じられなくなったから。」といった物の他に、「女性には、大統領就任させたくない。」という物も在った。「大統領は、白人がなるべき。女性がなるなんて、とんでも無い話だ。」という考え方の白人男性は少なく無く、「近年、増えている。」とも聞く。だけ差別的な発言を繰り返すトランプ氏を支持する人が少なからず居る事からも、色んな意味でアメリカ内の差別意識の根深さを感じた。

 

・「捜査は全て終了し、不起訴の方針。」としていたメール問題に付いて、選挙戦終盤唐突FBIが再捜査する事を宣言。結局、数日で不起訴処分を宣言する事になった訳だが、「此の事が、ヒラリー女史にとって追い風になるのではないか。」と見られていた。でも、今回の結果を考えると、「特権階級のヒラリー女史が、裏から手を回して、起訴を不起訴に変えさせたのではないか?」と想像した人が多かったのかもしれない。

 

トルコが「オスマン帝国の復活」を、ロシアが「ロシア帝国の復活」を、そして中国が「中華帝国の復活」を声高に叫び、其れが自国民に受けている様に、「大国アメリカの復活」を主張するトランプ氏にも、アメリカ国民の少なからずが熱狂しているのだろう。「自分さえ良ければ、人の事なんかどうでも良い。多数派以外は、切り捨てても構わない。」という実に内向きで排他的思考が世界で強まっているのは、本当に不気味。

 

・「ヒラリー女史は、選挙戦略面で誤った。」という面が在りそう。彼女の場合、著名人を引き連れての選挙運動が目立ち、投票日前日もバラク・オバマ大統領やレディー・ガガさん等がステージに登場していた。トランプ氏とは対照的な演出だったが、此の事が更に“特権階級的なイメージ”を増させてしまったのではないか。著名人に頼る事無く、“孤立無援的なイメージ”を演出する事で、判官贔屓な気持ちを擽る。又、勝気なイメージが強い彼女だけに、メール事件では変な言い訳をする事無く、只管謝罪する姿を見せ続けた方が、もっと支持を集められた様に思う。

 

仮想敵を作り上げ、其れ執拗且つ口汚く攻撃する事で、自身の支持を高める。」という手法は、我が国でも多用される様になったが、今回のトランプ氏の勝利により、更にそういった手法が世界的に増しそうなな予感が。

 

イギリスで行われた「欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票」の際、直前に発表された選挙予測では、「残留支持派が若干上回る。」とされていた。今回の大統領選挙でも、直前の選挙予測では「ヒラリー女史の勝利。」という事だった。共に世論調査の結果等を用い綿密な分析を行った上での予測だったなのに、結果は大きく外れた事になる。日本の場合、此の手の選挙予測が、大きく外れる事は先ず無い。日本の場合、世論調査で正直に答える人が殆どだが、海外の場合は“心の内”を知られたく無く、実際とは異なる回答をする人が少なく無い。という事なのだろうか?

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Unknown (悠々遊)
2016-11-10 09:53:19
本音で言えば嫌な予感が当たったというところです。
選挙中のトランプ氏の発言が維持されるなら、アメリカは次の4年間、世界に対し目と耳をふさぎ孤立主義に向かうのでしょう。
日米関係では、アメリカの忠実なポチ政権は、さらにご主人の言いなりになるのか、それとも本気で自立を目指すのか。
「自分の国は自分で守る」、自民党・保守派の好きなフレーズそれ自体は当たり前であって結構なことですが、国という箱を守ることが主目的では困るし、箱を維持する特権組織を守るため、国民全体を巻き添えにした戦前の日本のようになっても困る。
日本の何を誰からどのように守るか、この機会に議論を深められればいいのですが、今回のアメリカ大統領選挙のように、即物的ムードの中で流されるのが一番困ります。
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>悠々遊様 (giants-55)
2016-11-10 11:39:18
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

選挙序盤から「トランプ氏が大統領になるだろう。」と“予言”していたNHK出身の某キャスター。「今回の結果を受け、メディアへの露出が増えるだろうな。」と思っていたら、案の定、様々な番組に出捲っている。独自の視点から分析したというのは凄いけれど、日本のみならず世界的にも危うさが在る状況になったというのに、得意気に話している姿には、何とも言えない違和感が。

又、超エリートの某御笑い芸人(パックンでは無い方。)が、「どんな風に変わるか、楽しみな部分は在る。」といった趣旨の発言をしていた事も、「面白おかしく論じる話じゃ無いと思うんだけどなあ。」という違和感が。

トランプ氏を熱狂的に支持していた人々は、彼の当選によって“夢の世界”へと誘われた事でしょうが、彼に批判的な論調だったメディアは、まさかの事態に茫然自失状態といった感じなのでしょう。良くも悪くも“御祭り騒ぎ的な報道姿勢”が、非常に気になります。

世界的に“内向きな国”が増える中、我が国もそういう方向に向かいつつ在る。「マイノリティーを排除し、全体主義的な思考を尊重する。」というのは、嘗ての“暗闇”が復活する事を意味する。

流され易い国民性を考えると、今回の結果は日本人にとって、良い方向には向かわない気がしてなりません。
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>悠々遊様 (giants-55)
2016-11-10 12:19:08
意外と知られていない事の様ですが、トランプ氏のブレーンに、1人の日本人が居ます。元は某新興宗教団体のトップを務めた人間なのですが、トランプ氏とのパイプ役を欠く日本政府にとって、今後はキー・パーソンとなりそうな気が。(“北の国”の話題になると、事情通としてちょこちょこ登場する、バンダナを巻いた胡散臭い“キー・パーソンも居りますけれど。

個人的には胡散臭さを感じている組織なので、彼の重用が延いては其の組織の拡大化に利用されそうな懸念が。
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ホンマに出してどないするんや (かんちゃん@マラソン・マン)
2016-11-14 09:23:01
お久しぶりです。twitterでも書いたのですが、今回の大統領選挙の結果を見て、かつてのビールのCM、桂ざこば師匠がテレビで野球の試合を見て「川藤出さんかい。」と言いつつ、代打川藤が告げられたら、「アホか、ホンマに出してどないするんや。」と嘆いていたのを思い出しました。

「トランプに大統領やらせてみいや。」と思って投票してみたら、「ホンマにやらせて、どないするんや。」

そんな感じですね。
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>かんちゃん@マラソン・マン様 (giants-55)
2016-11-14 11:24:28
書き込み有難う御座いました。

本当に、そんな感じですよね。トランプ氏に投票した多くが「面白半分でだった。」とは思わないし、格差社会の広がりが従来型の政治家への反発が大きかったのは判るのだけれど、“特権階級への怒り”がヒラリーさんへの反発となったとなると、「トランプ氏だって、十二分に特権階級なのに。」という思いが沸いてしまう。

負けたとはいえ、総得票数ではトランプ氏(60,350,241票)を上回っているヒラリーさん(60,981、118票)[11月14日時点の数字]。アメリカ国民の半分以上はヒラリーさんを支持していた事になるし、トランプ氏への嫌悪感を持つ人も多かった筈。

そんな状況下、非常に興味深かったのは、選挙後に行われた世論調査の結果でした。「貴方は、トランプ氏をアメリカ大統領として認めますか?」という問いに、8割を超える人が「YES」と回答。「どういう結果で在れ、民主的な手段で選ばれた以上は認める。」という民主主義的思考なのかもしれませんが、不思議な感じがしました。
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