対象によって判断基準を変えてはいけない

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「反社会的勢力で在る暴力団に関わった力士は出場すべきで無いし、名前も公表すべきだ。」

「部屋閉鎖等厳しい処分が無いとも限らないが、膿を出し切った上でファンの為に名古屋場所は開催すべきだ。」

「中止するのは簡単。続ける方が覚悟を持った対処が必要で在り困難を伴う。中止は反社会的勢力に屈した事にもなる。ファンに見える形で対策を講じ、開催に踏み切るべきだ。」
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「完全に膿を出し切る。」。相撲界で不祥事が発覚する度に、この言葉を日本相撲協会上層部は何度この言葉を口にした事か。しかしその言葉とは裏腹に、日本相撲協会が行って来た事は「隠蔽」と「蜥蜴の尻尾切り」に終始していた様に思う。だから“本質的な澱み”は全くクリアにされる事無く、相撲界の不祥事が続発するのではないか？今回の「大相撲野球賭博問題」は相撲界にとって危急存亡の大不祥事なのだけれど、理事長を始めとした日本相撲協会上層部の言動を見ていると、「大不祥事。」と口にしている割には、未だ「隠蔽」と「蜥蜴の尻尾切り」をしようとしているのが透けて見え、「この組織は心底、自浄作用が無いんだなあ。」と思わざるを得ない。

ＮＨＫには視聴者から、名古屋場所の中継中止を求める厳しい声が殺到しているそうだ。又、各種アンケートの結果を見ると、名古屋場所の開催中止を求める人は相当な割合に上っているのが現状。私見で言えば、日本相撲協会が税金面で大きな優遇措置が取れられている（間接的に多くの血税が投じられている）特例民法法人で在る以上、これ程迄の大不祥事を起こしたのだから、徹底的な組織改革が図れる迄は興業を行うべきでは無い。残り日数を考えると、名古屋場所開催迄に徹底的な組織改革が図れるとは到底思えず、故に名古屋場所は開催すべきで無いと考える。開催されない事で仕出し屋等、相撲関連のビジネスをしている無辜の人達が大被害を受けるのは理解しているが、それは莫大な剰余金を有する“金持ちの”日本相撲協会が損失補填すれば良い。

で、冒頭に記した３つの言葉に話を戻すが、これは元ＮＨＫのアナウンサーで相撲関連の著書を何冊か刊行している杉山邦博氏が、今回の件に付いて述べたものだ。名古屋場所を開催すべきかどうかは人それぞれに判断が分かれるだろうし、「開催」又は「非開催」のどちらが正しいかなんて他者に強いるべき筋合いの物では無いと思っている。唯、杉山氏の主張する「中止は反社会的勢力に屈した事にもなる。」という論理には、自分は同意出来ない。寧ろ「反社会的勢力たる暴力団の関与が確実な野球賭博問題を引き起こした、それも決して少なくない数の力士が関わっていたというのに、それでも名古屋場所開催に踏み切るならば、相撲界及び暴力団双方に『甘い判断だなあ。それならば騒ぎが沈静化したら、又、野球賭博を再開するか。』という甘い思いを生み出し兼ねない。」と思うから。

杉山氏のこれ迄の言動を見る限り、この方は日本相撲協会寄りの言動が非常に多かった様に感じる。（彼の言動を全てチェックしている訳では無いし、中には公平な主張が在ったかもしれないけれど。）今回の件でも「ＸＸ親方が気の毒。」といった、方向違いの擁護も口にしていたし。又、外国人力士の不祥事に対しては辛辣な言葉を投げ掛けるのに、同じ様な事を日本人力士がしても触れなかったり、触れたとしても擁護めいた言葉を吐く事も珍しくなかった。一般社会でも「自分が好きでは無い対象に関しては痛罵を浴びせ捲るけれど、同じ事を自分が好きな対象がしても擁護したり、一切触れない。」、「自分が所属している組織に異を挟む人間に対しては狂った様に批判を浴びせる癖に、自分の所属する組織がおかしな事をしても一切触れない。」等、「対象によって判断基準を変える。」という実に身勝手極まり無い人が結構居たりするけれど、そういう人の主張には説得力が持ち得ない。杉山氏の場合も、自分は同様に感じるのだが・・・。