今回の記事は通算「2,222件」目で、オールぞろ目という事に。日本球界の通算安打数で言えば、歴代18位の大杉勝男氏の「2,228本」と、歴代19位の大島康徳氏の「2,204本」の間に位置する。歴代通算安打数ナンバー1は江川紹子さんと犬猿の仲に在る(?)張本勲氏の「3,085本」だが、「通算件数で、この記録を抜ければ良いなあ。」と密かに思っている。
閑話休題。
「千夜一夜物語」、別名「アラビアン・ナイト」を知らない人は先ず居ないだろう。元々はアラビア語纏められた説話物語集で、中でも一番有名な話は「アリババと40人の盗賊」と思われる。幼少時にこの話を読み、あの合言葉を口にした人も居た筈だ。そう、強奪した財宝を隠した場所の前で40人の盗賊達が、入口を塞ぐ岩に向かって叫び、その事で岩が開いて行った合言葉の「開けゴマ!」だ。「ゴマ」は英語で「sesame」だが、「開けゴマ!」を英訳するとそのまんまに「Open sesame!」となるのは知る人ぞ知る話。
今回読破した久保寺健彦の作品名も「オープン・セサミ」で、6つの短編小説から構成されている。それぞれ20代~70代迄の6つの世代の人間が登場し、各々が“初めての扉”を「開けゴマ!」とばかりに開いて行く物語だ。
一番印象に残ったのは「先生一年生」。大学卒業と同時に小学校に赴任した20代の新人教師・時田陽介が、担任を任せられた5年4組の生徒達に翻弄され、悪戦苦闘する姿が描かれている。時に子供は残酷な面を見せたり、相手の顔色を窺いつつ馬鹿にしたりする事が結構在るものだけれど、最初の顔合わせで子供達に付け入る隙を与えてしまった陽介に対し、子供達は次々にしたい放題を始め出す。現状を改善しようと陽介は色々試みるのだが、状況はどんどん悪化し、やがて学級崩壊に近い状態に。保護者から吊るし上げを食らった陽介が助言を求めたのは、自分対する当て付けの様な発言が多い、取り付く島が無い様な女教師・本橋富士子だった。短大を卒業して教師となり、今年で9年目を迎えた29歳の富士子は、年齢こそ陽介とそんなに変わらないものの、自分なりの分析&論理で生徒達の心をしっかりと掌握している。その分析&論理には「成る程」と感じる所が在るのだけれど、彼女のスタイルをそのまんま取り入れ様とし、結果的に失敗してしまった陽介の“浅さ”には苦笑。
「家庭訪問で噛みついてくる保護者は、まずいないよ。わざわざ足を運んでもらってるわけだし、自分のテリトリーにいる安心感があるからね。問題は学習参観と、懇談会。特に懇談会まで残る保護者は熱心だから、おかしな授業見せたらボロクソに言われる。」
教務主任が口にした言葉だが、「確かにその通りだろうな。」と思ったりも。
「みなさん、さようなら」、「ブラック・ジャック・キッド」、「すべての若き野郎ども」、「空とセイとぼくと」、そして「中学んとき」と、これ迄の久保寺作品には読後に何とも言えないほろ苦さが残るのが特徴。映画「スタンド・バイ・ミー」を見終えた際の感覚と非常に似ているのだが、今回の作品はそれと全く異なる。だから、これ迄に他の久保寺作品を読んで来た人にとっては、少々面食らう作品と言えるかもしれない。読み終えた際の総合評価は今一つ高く出来なかったのも久保寺作品の特徴だが、同時に暫く時間を置くと「又、読んでみようかな。」と思ってしまうのも特徴。「空とセイとぼくと」は、その代表格。
総合評価は星3つ。
閑話休題。
「千夜一夜物語」、別名「アラビアン・ナイト」を知らない人は先ず居ないだろう。元々はアラビア語纏められた説話物語集で、中でも一番有名な話は「アリババと40人の盗賊」と思われる。幼少時にこの話を読み、あの合言葉を口にした人も居た筈だ。そう、強奪した財宝を隠した場所の前で40人の盗賊達が、入口を塞ぐ岩に向かって叫び、その事で岩が開いて行った合言葉の「開けゴマ!」だ。「ゴマ」は英語で「sesame」だが、「開けゴマ!」を英訳するとそのまんまに「Open sesame!」となるのは知る人ぞ知る話。
今回読破した久保寺健彦の作品名も「オープン・セサミ」で、6つの短編小説から構成されている。それぞれ20代~70代迄の6つの世代の人間が登場し、各々が“初めての扉”を「開けゴマ!」とばかりに開いて行く物語だ。
一番印象に残ったのは「先生一年生」。大学卒業と同時に小学校に赴任した20代の新人教師・時田陽介が、担任を任せられた5年4組の生徒達に翻弄され、悪戦苦闘する姿が描かれている。時に子供は残酷な面を見せたり、相手の顔色を窺いつつ馬鹿にしたりする事が結構在るものだけれど、最初の顔合わせで子供達に付け入る隙を与えてしまった陽介に対し、子供達は次々にしたい放題を始め出す。現状を改善しようと陽介は色々試みるのだが、状況はどんどん悪化し、やがて学級崩壊に近い状態に。保護者から吊るし上げを食らった陽介が助言を求めたのは、自分対する当て付けの様な発言が多い、取り付く島が無い様な女教師・本橋富士子だった。短大を卒業して教師となり、今年で9年目を迎えた29歳の富士子は、年齢こそ陽介とそんなに変わらないものの、自分なりの分析&論理で生徒達の心をしっかりと掌握している。その分析&論理には「成る程」と感じる所が在るのだけれど、彼女のスタイルをそのまんま取り入れ様とし、結果的に失敗してしまった陽介の“浅さ”には苦笑。
「家庭訪問で噛みついてくる保護者は、まずいないよ。わざわざ足を運んでもらってるわけだし、自分のテリトリーにいる安心感があるからね。問題は学習参観と、懇談会。特に懇談会まで残る保護者は熱心だから、おかしな授業見せたらボロクソに言われる。」
教務主任が口にした言葉だが、「確かにその通りだろうな。」と思ったりも。
「みなさん、さようなら」、「ブラック・ジャック・キッド」、「すべての若き野郎ども」、「空とセイとぼくと」、そして「中学んとき」と、これ迄の久保寺作品には読後に何とも言えないほろ苦さが残るのが特徴。映画「スタンド・バイ・ミー」を見終えた際の感覚と非常に似ているのだが、今回の作品はそれと全く異なる。だから、これ迄に他の久保寺作品を読んで来た人にとっては、少々面食らう作品と言えるかもしれない。読み終えた際の総合評価は今一つ高く出来なかったのも久保寺作品の特徴だが、同時に暫く時間を置くと「又、読んでみようかな。」と思ってしまうのも特徴。「空とセイとぼくと」は、その代表格。
総合評価は星3つ。