案の定と言うべきか、彼の主張に対して支持、又は不支持の両方から、妙な思惑から彼の主張の悪用をしようとしている(と感じる)輩が続出。改めて記すのもウンザリする様な事柄なので、詳細は「手の平返し Part2」という記事のコメント欄に、自分が「2011年7月31日22時26分49秒」付けで書き込んだ内容を読んで戴けたらと思うが、妙な思惑からの政治利用や政治介入は何処の政党だろうと許される物では無い。万が一、高岡氏が“何等かの約束事”を“特定の政党”なり“特定の人物”と結んだ上での今回の主張だった“ならば”全くの論外だが、彼は純粋な思いから発言したものと信じているだけに、妙な思惑からの悪用は断じて許せない。
閑話休題。
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埼玉県の長閑な田園地帯で、肉片と骨の屑の様なバラバラ死体が発見された。被害者は現場近くに在る製薬会社「スタンバーグ製薬」に勤めていた桐生隆(きりゅう・たかし)。仕事振りも勤勉で質素な暮らしを送っていた青年は、何故殺されなければならなかったのか?
埼玉県警捜査一課・槙畑啓介(まきはた・けいすけ)は捜査を続ける過程で、桐生が開発研究に携わっていた“ヒート”と呼ばれる薬物の存在を知る。其れは数ヶ月前、少年達が次々に凶悪事件を起こす原因となった麻薬だった。事件の真相に迫る程、押し隠して来た槙畑の心の傷が抉り出されて行く。過去の忌まわしい記憶を克服し、槙畑は桐生を葬った犯人に辿り着けるのか?
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第8回(2009年)「『このミステリーがすごい!』大賞」で大賞を受賞した「さよならドビュッシー」に、自分は総合評価で「星4つ」を付けた。デビュー作に対して自分が此れ程高い評価を付けるのは珍しいのだけれど、著者の中山千里(なかやま・しちり)氏は他にも2作品を最終選考に進出させた実績(第6回[2007年]及び第8回[2009年-「さよならドビュッシー」の他にもう1作エントリーしており、即ち2作同時に最終選考に進出。])を持っているのだから、高い評価も当然と言えば当然か。で、冒頭に記した梗概は、第6回の最終選考に残った「魔女は甦る」に付いてだ。
今から20年前の1991年、「同窓会大量殺人未遂事件」というのが明らかになった。「中学時代に受けた苛めを恨みに思っていた男性が、卒業から12年後に自ら同窓会を開催する事になったのだが、実は同窓会の場で恩師や同級生を皆殺しにしようと目論んでいた。」という事件で、未遂には終わったものの、砒素入りのビールやガソリン入りの爆弾が用意されていたと報じられた。「苛めた側は其れを忘れてしまい勝ちだけれど、苛められた側はずっと忘れない。」とは言うけれど、其れにしても「卒業から12年も経って、尚且つ皆殺しをしようと目論んでいた。」という事実には、正直ゾッとさせられたもの。
此の小説には「心に深い傷」を負った者が、何人か登場する。其れも半端な傷では無く、記述を読んでいても胸がムカムカする様な傷で、「トラウマ」と言って良いレヴェルの物だ。1人は小学校時代に壮絶極まり無い苛め&仕打ちを受けており、其れが後の人生に余りにも暗い影を落としている。
次々に突き付けられる悲惨な結末も在り、全体を通して陰鬱さが漂う作品なのだが、其れでも次の頁を捲らせてしまうのだから、著者の高い筆力を認めざるを得ない。
ネタバレになるから詳しくは書かないが、「スリラー映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックの余りにも有名な某作品を思い起こさせるシーン。」が登場したり、「『13日の金曜日』シリーズのエンディング・パターンを思わせるエンディング。」等、実際はどうか知らないけれど、「中山氏って、スリラー映画やホラー映画を相当見捲ったんじゃないのかなあ?」と感じさせる作風だった。
グングンとストーリーの中に引き込まれて行く筆力は凄いが、余りの遣り切れなさと「結局、どうなったの?(どうなるの?)」という未消化な思いが残ったのは減点ポイントとした。総合評価は星3.5個。