今季限りで現役を引退する事となった岩隈久志投手。21年間のプロ生活で残した「170勝108敗2セーヴ」という数字も然る事乍ら、MLBノーヒットノーランを達成したというのは本当に凄い。最後のチームとなったジャイアンツでは、一軍で投げる事が叶わなかったのは残念だけれど、本当に御疲れ様!!
元ジャイアンツの上原浩治氏は、岩隈投手と家族包みでの付き合いが在るそうで、自身のツイッター(10月24日付け)で、労いの言葉を掛けている。そして、「東京ドームで行われる11月7日の対スワローズとの試合後に、岩隈投手の引退セレモニーが行われる。」事を紹介している。
現役を引退する功労者に対してチームが用意する形には、大きく分けると“引退セレモニー”と“引退試合”が在る。両方を同時に行う場合も在るけれど、何方かだけの場合も。今回の場合は、引退セレモニーだけという事になる。
で、ツイッターで上原氏は「引退セレモニーは悪く無いが、『戦力構想から外れていたり、既に一軍のレヴェルのパフォーマンスを発揮出来なかったりする選手の一軍での引退試合。』は必要無い。」と、自身の考えを記している。
「引退する打者の現役最後の打席は『真っ直ぐ』と相場が決まっている。投手の場合は、打者はバットに当てず、三振に倒れる。然し、野球には必ず相手が居る。忖度して凡退した打者は打率を下げ、投手は被安打が増える可能性が高い。其の『引退試合』は、本当に必要なのか。」というのが、其の理由だ。
「戦力構想から外れていたり、既に一軍のレヴェルのパフォーマンスを発揮出来なかったりする選手。」の引退試合の為だけに、貴重な一軍登録の枠が使われる。其の為に、“未来の在る選手”の枠が削られてしまう。又、引退選手へは“真剣勝負”が行われず、其の為に対戦した選手の成績が下がる可能性も在る。「ベンチの指示により、真剣勝負させて貰えなかった事で、マウンド上で涙を流した彼。」としては、真剣勝負にどうしても拘ってしまうのだろう。
そういう考えから引退試合を行っていない上原氏は、「球団が功労者にセレモニーの場を用意するのなら、翌シーズンの本拠地試合で『始球式』が良いと思っている。」と述べている。
昨年行われたオール・スター・ゲーム第2戦では、タイガースの近本広司選手が、古田敦也氏以来27年振りとなる“オール・スター・ゲーム史上2人目のサイクル安打”を達成したけれど、『第5打席目の3塁打は、サイクル安打達成させるべく、パ・リーグの選手達がアシストしたのでは?』という批判の声が上がった。確かにそういう感じは在ったけれど、自分は「オール・スター・ゲームは“御祭り”で在り、ファンが喜ぶので在れば、そういう“演出”が在っても良いと思う。(御祭りだからと言って、『何でも在り。』という訳でも無いが。)」と記した。そして、「レギュラー・シーズンの試合での“忖度”は別だが(と言って、優勝が確定した後、引退する選手に“打てる球”を投げたり等の忖度は在って良い様な気もするが。)。」とも。
上原氏の考え、理解出来ない訳では無い。引退試合は盛り上がるけれど、真剣勝負という点からするとどうかとは思うし、1試合だけとはいえ、貴重な一軍登録の枠が使われてしまうのも「100%賛成。」とは言えない。
で、「真剣勝負をするので在れば、無条件で『引退試合は在り。』と思う。でも、“演出”が入るので在れば、『“条件付き”で在り。』だ。条件とは『①優勝及び其のチームの順位が確定している。』、『②対戦相手には、タイトル争いや重要な記録が関わっていない。』、『③対戦相手が、“演出”を行えるだけの技量及び余裕を持っている。(対戦相手が新人等、演出する技量や余裕が無い場合、演出によってダメージを受け、選手生命の危機に陥る可能性も在るので。)』等を想定している。」というのが、自分の考えだ。
最後に、皆様にズバリ聞きます!「プロ野球の引退試合を、どう考えますか?」。
引退する相手に「花を持たせる」ため、手加減するのなら「引退試合」ではなく「引退セレモニー」でをやるべきだと考えます。
藤川球児投手の引退試合が11月10日の対巨人戦で予定されてますが、当日、1対0で阪神リードの9回、ランナー1塁バッター岡本、藤川投げた岡本ホームラン。阪神逆転負け、ホームラン王、大山ではなく岡本に決定。と、いうことになっても阪神ファンの私は納得します。
引退を表明した、阿部慎之介最後の打席のピッチャーが藤川でしたね。藤川オールストレート。これに阿部オールフルスイング。あわやホールランかと思う大ファール。阿部三振。阿部、藤川に帽子のつばに手をやってあおいさつして打席を去る。こういう「引退試合」なら、ぜひ見たいですね。
オールスター・ゲームに関しては、余程の事が無い限り、基本的に「御祭りなので、何でも在り。」と考えていますが、レギュラー・シーズンの場合は、より厳格な縛りが在った方が良いと思っています。ですので、レギュラー・シーズンでの引退試合に関しては、真剣勝負が好ましいですね。
書かれておられる阿部慎之助選手の引退試合、藤川投手との“最終打席”は本当に良かった。「真剣勝負する事が、相手に対する最大の敬意。」という藤川投手の思いが見ている側に伝わって来たし、阿部選手もそんな思いを判っていたからこそ、全てをフル・スイングで応えた。両者天晴れで、ああいう形はファンを魅了しますね。
上のコメント「Unknown」は私です。
うっかりしておりました。
by雫石鉄也
文体等から「雫石様が書かれたのだろうな。」」とは思っておりましたが、万が一違っていたら失礼に当たるので、敢えて書かなかった次第です。
そもそも近年、まだシーズンが続いていて、優勝争いを続けている途中で引退を発表するケースが多くなっています。今年に限っても阪神の藤川、ヤクルトの五十嵐など。
でも、これははっきり言っておかしいです。チーム全員、一丸となって闘っている最中に、「オレ辞めるわ」と宣言するわけですから、チームの他の選手にとっても、応援している観客にとっても脱力してしまうようなものです。例えシーズン途中に力の限界を感じ、引退を心に決めたとしても、誰にも言わず最後まで全力でプレーし、引退宣言は、公式戦が終了した後にすべきです。最低でも、チームの順位が確定した後くらいでしょう。
そういうわけですから“真剣勝負”の公式戦の途中に引退試合を組み込むのも反対です。サッカーでプレー中に、引退を表明した選手を途中出場させて、1球だけ蹴らせて、はい退場、なんて事やりますか?
上原氏の、“引退セレモニーは悪く無いが、一軍での引退試合は必要無い”という意見に私も賛成です。
ちなみにwikipediaで「引退試合」を調べると、“海外ではMLBにおいてワンデー・マイナーリーグ・コントラクトと題して1日だけマイナー契約を結び、プレシーズンで始球式を行う程度で、セレモニーこそ引退から期間が経過してから執り行われるものの、試合形式のイベントは皆無に近い”とあります。MLBで活躍した上原氏が「球団が功労者にセレモニーの場を用意するのなら、翌シーズンの本拠地試合で『始球式』が良いと思っている。」と言っているのは、そのワンデー・マイナーリーグ・コントラクトの事を知ってるからでしょう。
シーズン途中での引退発表、「チームを背負って来た選手の雄姿を、シーズン内の試合でファンに見せたい。」という思いが、チームには在るのでしょう。勿論、「引退試合を行えば、消化試合でも観客が動員出来る。」という助兵衛心も在りましょうが。
又、当該選手の立場からすると、「早めに発表する事で、チームを勢い付けたい。」という気持ちも、在るのかも知れません。
唯、「オール・スター・ゲームの様な“御祭りの場”とは異なるレギュラー・シーズンでは、真剣勝負というのを最優先して欲しい。」という思いがどうしても拭えず、“演出”というのに冷めるファンも多いでしょうね。
メジャー経験の在る上原氏ですから、仰る様に「ワンデー・マイナーリーグ・コントラクト」を意識した意見の可能性は高そう。
ファンと当該選手との“御別れの場”を設けるのは凄く良い事ですが、其の形が問題ですね。