「人の振り見て我が振り直せ」という故事が在る。「他人の言動を見て、『良い。』と感じた物は見習い、『好ましく無い。』と感じた物は『自分も同じ事をしていないかな?』と我が身を顧みて、同じ事をしている様だったら改める。」という意味合いだ。
人と話をしていると、此の故事を思い出し、反省させられる事が結構在る。世の中に完璧な人なんて居ないだろうが、「彼(乃至は彼女)って“残念な人”だよね。」と言われない様に、「人の振り見て我が振り直せ」という努力はしたい物だ。
高齢の知り合いで、地域の“歌う会”に幾つか参加している人が居る。月に1回~数ヶ月に1回位の割合で行われ、数百円程度の料金で参加出来る会で、コーラスの様な堅苦しい物では無く、ギターやエレクトーン等の伴奏に合わせ、童謡や昭和30~40年代の歌謡曲等、懐かしい歌を皆で歌う。参加者は高齢者が殆どで、大体30~40人程が参加してるらしい。
此の手の会、参加する顔触れは大体決まっているそう。殆どは“ちゃんとした人”なのだが、何人かは“残念な人”が居ると言う。
「限られた時間内で歌を歌い、そして司会者が時々場を和ませる話をする。」という形式なのだが、其の限られた時間内に矢鱈としゃしゃり出て、“自分語り”をするのが大好きな人が居ると言う。司会者の話とは全く無関係に「私は、大企業のXXで部長をしていました。」とか、「私は〇〇大学のOBで、有名人の△△さんは知り合いです。」等と、誰も興味が無い様な自慢話を延々とするらしい。彼がそういう話をし出すと、「又か・・・。」という空気が流れるが、本人は全く気付かずに話し続ける。限られた時間が何度も何度も、自分語りで寸断される訳だ。
ビートたけし氏が自身の本の中で、「無駄に芸能ネタを知っていて、得意になって其れを口にする馬鹿。」というのを書いていたが、1曲歌い終わる度に「此の歌を歌っていた歌手の☆☆さんは□□の出身で、本名は『◎◎』って言うんだよ。」等と、得意気に芸能ネタ許りを披露する人も居るとか。一度や二度なら未だしも、限られた時間が何度も寸断されるのでは、周りは良い迷惑。
「自分が歌いたい歌をリクエストし、リクエストした人が前に出て来て一緒に歌う。」というのも、“コーナー”として在る。「皆で一緒に歌う。」という“会の性格”は、コンセンサスとして在る筈なのに、どう考えても皆で一緒に歌うには相応しくない歌許り何曲もリクエストし、前に出て“熱唱”する人も。合いの手を入れる事を強要したりもするので、「そんなに1人で熱唱したいのなら、カラオケに行って歌えば良いのに。」と周りから言われているそうな。
「人の振り見て我が振り直せ」で在る。