先日、ダウンタウンがMCを務めるヴァラエティー番組で、「昭和の時代では“当たり前の事柄”だったが、現在では“信じられない様な事柄”。」を取り上げていた。バリバリの昭和生まれで在る自分の様なおっさんからすると、「懐かしいなあ。」と思ってしまう事柄が多かったけれど、今の若い子達からすると実に奇異に感じる様で、理解に苦しんでいる姿が面白かった。
唯、昭和生まれのおっさんで在る自分でも、「そんな光景は見た事無いなあ。」と思う物も。金属で出来た鼠捕り、即ち「捕鼠器」というのを見た記憶は在るのだが、「水が大量に張られた盥等に、捕まった鼠を捕鼠器ごと沈め、鼠を“窒息死”させる。」という光景を、自分は見た事が無いのだ。
自分より年下の伊集院光氏が、「優しい御婆ちゃんが、鼠を窒息死させる光景というのは衝撃的だった。窒息死させられる際、鼠が『チュ~ッ!!!』という断末魔の声を上げていたのが忘れられない。」と証言していたが、確かにそんな光景を見てしまうと、「一生忘れられないだろうな。」とは思う。(ゲストの若いタレントが、「死んだ鼠って、“燃える塵”として出してたんですか?」と質問した所、誰だったか忘れたが昭和生まれのタレントが、「当時は“分別収集”なんて無くて、全て一緒くたに捨ててたよ。」と答えていたのを聞いて、「そうだったよなあ。」と。)因みに自分の場合、幼い頃に町内会がピンク色の殺鼠剤を配布していたのを覚えている。家の中で鼠が通りそうな場所に殺鼠剤を置いていたが、実際に鼠の死骸を見た記憶は無い。
番組で取り上げられていた物の中に、健康器具の「スタイリー」が在った。「デッキチェアの様な器具に仰向けで乗って、ギッタンバッコンと体を伸ばしたり折り曲げたりして、腹筋運動する。」という物で、1970年代半ば頃に日本で流行した。我が家でも父が購入したけれど、「TVCMでは軽々と楽しそうに腹筋運動をしていたものの、実際に行ってみると結構難しく、皆、直ぐに飽きてしまった。」っけ。他の家でも同様だったみたいで、健康器具とはそんな感じなんだろう。
で、スタイリーと言えば思い出すのが、番組内でも取り上げていたTVCM【動画】。「スタイリー スタイリー スタイリー スタイリー♪」という些か気怠さを感じさせる音楽に合わせ、3人の女性がスタイリーに興じた後、“謎のおっさん”が登場して、「アメリカで生まれたスタイリー。私に電話して下さい。どうぞ宜しく。」とたどたどしい日本語で話すと、「東京03」で始まる電話番号が表示される。今となってみれば「謎のおっさんは恐らくスタイリーの製造&販売をする会社の社長で、表示された電話番号は会社の番号だろうな。」と判るが、通信販売なんてそうはメジャーじゃ無かった時代、況してや子供だった自分には、「其の電話番号は謎のおっさんの自宅の物で、掛けると謎のおっさんが電話口に出る。」と思っていた。
スタイリーのTVCMで表示されている電話番号を見ていて、ふと思った事が在る。「そう言えば、昔は“変わったテレホン・サーヴィス”が結構在ったなあ。」と。15年前の記事で書いたけれど、(特定の電話番号に掛ける事で繋がる)「芸能人が、自分に話し掛けてくれる電話。」や「ミクロマン電話」、「リカちゃん電話」等がそう。録音された内容を“一方的に”話し掛けて来るだけなのだが、何度も電話したっけ。8年前の記事でリカちゃん電話が“現役”で在る事の驚きを記したが、今も現役の様だ。
気になって色々調べた所、「たそがれ時のこいきなやつ等」というブログの「昭和の一方的なテレホンサービス【ダイヤルコンプレックス】」という記事を発見。昭和の時代に存在していた変わったテレホン・サーヴィスが幾つか紹介されており、「懐かしいなあ。」と思ってしまった。
リカちゃん電話の様に現役の物も在るが、殆どは終了してしまっている。(フジパンが運営していた「とんとむかし あったとさ」という民話を話してくれるテレホン・サーヴィスは、つい最近迄現役だった様だ。)終了してしまっているテレホン・サーヴィスを見ていて、「うわー、そういうの在ったなあ!!」と声を出してしまったのが、所謂「御化け電話」と呼ばれていた物。今は「話し中調べ」という目的の電話番号として使われている「114」だが、大昔(恐らく40年近く前)には「試験用特番」として使われていた。「業者が固定電話の回線工事を行った際、其の電話回線が無事繋がったかを確認する為の電話番号で、其の電話で『114』をダイヤルし、受話器を置くと、電話回線が繋がっていれば『リリリン♪』と“自動的に”電話が鳴る。」という物。携帯電話なんて影も形も無かった時代なので、「携帯電話から其の固定電話に電話すれば、回線が繋がっているかどうか確認出来るのに。」という考えは通用しないのだ。
当時、「『114』をダイヤルして受話器を置けば、御化けから無言電話が掛かって来る。」と、子供達の間で噂になった。自分も掛けた事が在り、無言電話が掛かって来た事に不気味さを感じたっけ。「○○試験は有効です。次に御進み下さい。」という録音された女性の声が何度も繰り返されるパターンも在った様だが、自分は聞いた事が無い。
くどい様だが、今の「114」は「話し中調べ」という目的の電話番号で在り、「試験用特番」として使われていないので、呉々も「試験用特番」の目的で電話を掛けない様に。