ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「モルフェウスの領域」

2011年04月23日 | 書籍関連

**************************************

日比野涼子は桜宮市に在る「未来医学探究センター」で働いている。東城大学医学部から委託された資料整理の傍ら、世界初の「コールド・スリープ」技術により人工的な眠りに就いた少年・佐々木アツシの生命維持を担当していた。アツシは網膜芽腫が再発し両眼失明の危機に在ったが、特効薬の認可を待つに5年間の“凍眠”を選んだのだ。


だが少年が目覚める際に重大な問題が立ちはだかる事に気付いた涼子は、彼を守る為の戦いを開始する。

**************************************

 

海堂尊氏の小説「モルフェウスの領域」は、「コールド・スリープ」を題材にしている。SF小説では御馴染みの「コールド・スリープ」だが、御存知無い方も居られようから簡単に説明すると、「人体を低温状態に保ち、老化を防がせ乍ら、睡眠状態に置く技術。」だ。大昔は「荒唐無稽な話」としか思えなかったが、近年では「もしかしたら将来的には・・・。」と実現性を期待したりもする。因みに「モルフェウス」とは、ギリシア神話に登場する「眠りを司る神」なのだとか。

 

アツシが「人工的な眠り」に就いたのは9歳の時で、其れから5年後の14歳で目覚める事に。「5年間」という年月は人によって「短い」とも「長い」とも感じようが、アツシにとっては「生きてい乍ら、死んでいた時間」とも言える。彼の両親はコールド・スリープの費用負担を拒否したばかりか、離婚&親権放棄をしており、眠っている間に「身寄りの無い状況」になってしまっていたアツシ。「夢の技術」にも成り得るコールド・スリープだが、其の裏には幾つもの問題点が横たわっている事を、此の作品では示唆している。

 

海堂作品では御馴染みのキャラクターが次々に登場すのは嬉しいのだけれど、「顔見せだけ」といった感じで、描かれ方が浅いのが不満。ストーリー展開にも意外性は無く、最後の最後「想定内」という感じが。

 

総合評価は星3つ


コメント    この記事についてブログを書く
« 何れも「現実」 | トップ | 無常 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。