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新年に入って3日目となったが、近所を歩いていて、例年と違った感がしたりする。門の所に「松飾り」をしている家が、可成り減っているからだ。松飾りと言っても、門の前にドンと置かれている立派な門松の事では無い。松の枝に一寸した飾りが施された物を指しているのだが、例年ならば殆どの家が松飾りを門に施しているのだけれど、今年は6割行くか行かないか位の飾り付け率。
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昨年の1月3日の記事「皆様の周りでは如何だろうか?」からの抜粋。昨年「可成り減ったなあ。」と感じた松飾りだが、今年の正月はより減っていた。近所に関して言えば、松飾りを施している家は5割位といった感じか。
クリスマス、派手なイルミネーションを施す家が現れると、隣近所では張り合う様にイルミネーションを施す家が続出したりする。年を追う毎に派手さを増して行くも、一軒がイルミネーションを取り止めると、次の年からはバタバタと他の家も取り止めたりするから面白い。「そろそろ止めたいな。」と思っていても、自分の所だけ止めてしまうと「ああだこうだ。」と周りから言われそうなので中々止められず、誰かが止めるタイミングを待っていたのかもしれない。
松飾りに付いても同様で、「隣近所が施さなくなったから、来年は家も止めよう。」という事なのかもしれないが、並び立つ十数軒が等しく松飾りを施していないという光景は、「ハレ(晴れ)とケ(褻)」という世界観が更に縮小した様で寂しい。
話はガラッと変わるが、当ブログで何度か紹介したタイガース・ファンの後輩は、ミステリーを愛する人物でも在る。「貴志祐介」なる作家を知ったのも、彼から「此の人の作品は面白いですよ。」と教えて貰ったからで、読んでみたら実際に面白く、刊行された作品は全て読了してしまった。東野圭吾氏と同様、作品に外れが少なく、新作が楽しみな作家の1人。
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11月下旬の八ヶ岳。山荘で目醒めた小説家の安斎智哉(あんざい ともや)が見た物は、次々と襲って来る雀蜂の大群だった。昔、蜂に刺された安斎は、もう一度刺されると、命の保証は無い。逃げ様にも、外は吹雪。通信機器も使えず、一緒に居た妻・夢子(ゆめこ)は忽然と姿を消していた。此れは、妻が自分を殺す為に仕組んだ罠なのか?安斎と蜂との壮絶な死闘が始まった。
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貴志氏の小説「雀蜂」が書き下ろしの文庫本として刊行されたのは、昨年10月の事。東野氏もそうだが、売れっ子作家の新作が単行本では無く、低下の安い文庫本で行き成り刊行されるというのは、「本が売れない時代なんだなあ。」と改めて感じさせられる。
「そろそろ『雀蜂』を読もうかなあ。」と思っていた所、件の後輩からメールが届いた。近況が記された他、読了したとの事で「雀蜂」に付いて触れられていたのだが、「貴志作品とは思えない程、クオリティーが低くて、残念な内容だった。」との事。
実際に読了した今、「彼の指摘は的を射ていた。」と感じている。「蜂の生態」に関しては良く調べて在ると思うし、興味深い内容では在ったが、肝心なストーリーが凡庸。「閉ざされた空間でのパニック物」という範疇に入るのだろうけれど、今一つ「恐怖」が伝わって来ない。
又、最後の「どんでん返し」に意外さが無く、「使い古された形式だなあ。」というのが正直な所。貴志作品に惚れ込んでいる人程、此の作品への失望度は高い事だろう。次作での“復活”に期待したい。
そんな訳で、総合評価は星1.5個とする。