人形アニメーション映画「死者の書」を観て来た。人形美術家で在り、アニメーション作家でも在る川本喜八郎氏が人形の制作及び監督を担当された作品で、昨年の第17回ザグレブ国際アニメーション映画祭では審査員特別栄誉賞を受賞している。ずっと観たいと思いつつ機会を逸していたのだが、前に戴いた情報で都内での上映を知り、今回念願成就した訳だ。
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時は奈良時代。当時の都・平城京に在っては、大和文化と大陸文化が微妙な形で融合した文化が開花していた。大貴族で在る藤原南家の郎女(いらつめ)は、当時最新の文化だった仏教に目覚め、称讃浄土経の千部写経を開始する。
そんな最中の彼岸中日の夕暮れ、彼女は二上山の上空に気高き俤人(おもかげびと)の姿が浮かび上がるのを見る。そして、無事千部目の写経を終えた彼女は、何者かに吸い寄せられる様に屋敷を出て、二上山の麓に在る女人禁制の寺・当麻寺の境内に入り込んでしまう。
彼女を其処に呼び寄せたのは、権力闘争に巻き込まれ、若くして死に追い遣られた大津皇子の彷徨える魂だった。死の間際に目にした女性・耳面刀自(みみものとじ)に執心し、その面影を残す郎女に惹かれる大津皇子の魂。やがて彼女も彼に惹かれて行き、その一途な思いは皇子の魂を鎮めて行く・・・。
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日本の民俗学&国文学の大家・折口信夫氏の小説「死者の書」を下敷きにしている。歴史的背景が本編の前に短編映画の形で説明されるが、それを理解していないと一寸判り難いストーリーかもしれない。良く言えば優美さ&幽玄さを感じさせるストーリーだが、悪く言えば単調に過ぎてやや退屈さを感じる人も居るだろう。
しかし、人形達の上品にして魅惑的な出来栄えは絶賛に値する。同じ嫋やかさでも、辻村寿三郎氏の人形達が持つ縮緬の柔らかさとは又異なった魅力を放っている。
そして、ナレーションの岸田今日子さんを始めとして、宮沢りえさんや榎木孝明氏、江守徹氏、三谷昇氏、黒柳徹子等、錚々たるメンバーが声優として担当しているのも良い。特に、”當麻の語り部の媼(たいまのかたりべのおうな)”という老女役を担当している黒柳さんの声色は絶品だった。
人形達や声優に関しては文句無しに星5つ。但し、ストーリーを含めた総合評価としては、星3.5としたい。
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時は奈良時代。当時の都・平城京に在っては、大和文化と大陸文化が微妙な形で融合した文化が開花していた。大貴族で在る藤原南家の郎女(いらつめ)は、当時最新の文化だった仏教に目覚め、称讃浄土経の千部写経を開始する。
そんな最中の彼岸中日の夕暮れ、彼女は二上山の上空に気高き俤人(おもかげびと)の姿が浮かび上がるのを見る。そして、無事千部目の写経を終えた彼女は、何者かに吸い寄せられる様に屋敷を出て、二上山の麓に在る女人禁制の寺・当麻寺の境内に入り込んでしまう。
彼女を其処に呼び寄せたのは、権力闘争に巻き込まれ、若くして死に追い遣られた大津皇子の彷徨える魂だった。死の間際に目にした女性・耳面刀自(みみものとじ)に執心し、その面影を残す郎女に惹かれる大津皇子の魂。やがて彼女も彼に惹かれて行き、その一途な思いは皇子の魂を鎮めて行く・・・。
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日本の民俗学&国文学の大家・折口信夫氏の小説「死者の書」を下敷きにしている。歴史的背景が本編の前に短編映画の形で説明されるが、それを理解していないと一寸判り難いストーリーかもしれない。良く言えば優美さ&幽玄さを感じさせるストーリーだが、悪く言えば単調に過ぎてやや退屈さを感じる人も居るだろう。
しかし、人形達の上品にして魅惑的な出来栄えは絶賛に値する。同じ嫋やかさでも、辻村寿三郎氏の人形達が持つ縮緬の柔らかさとは又異なった魅力を放っている。
そして、ナレーションの岸田今日子さんを始めとして、宮沢りえさんや榎木孝明氏、江守徹氏、三谷昇氏、黒柳徹子等、錚々たるメンバーが声優として担当しているのも良い。特に、”當麻の語り部の媼(たいまのかたりべのおうな)”という老女役を担当している黒柳さんの声色は絶品だった。
人形達や声優に関しては文句無しに星5つ。但し、ストーリーを含めた総合評価としては、星3.5としたい。

子供の頃、NHKでやっていた「プリンプリン物語」をなぜか思い出しました。
私はこの映画、事前情報もなく見てしまったのですが、
人形の醸し出す世界感に、いつのまにか引き込まれました。
確かに単調というのも否めませんが、その単調さが
あの「日本のようで日本でないような」「現実なのに現実でないような」世界観を表現するには、なかなかいい手段だったかも、と思ったりした次第です。
確かに、黒柳徹子さんの声は、素晴らしかった。
だてに芸歴長くないんだな、と納得させられました。
私は小説を先に読んでしまっていたので大体の骨子や主題は大体つかんでいました。
その分どのようにあの世界を表現するのか興味があって見に行きました。
あの世界観は単調でしたが全く生臭さを感じさせないという点で人形以外には表現しえないのではないでしょうか。
もちろん声の良さがあったからこその世界ですが・・・。
明日時間があれば…と思ってたのに、仕事や子どもの学校の面談でつぶれました。
三国志もそうですが、声優を務める俳優人がすごいですよね。重厚な映画に仕上がってたんでしょうね。
さて、今後見る機会があって欲しいと願い、原作でも読んでみようかな。歴史に弱いので^^;