「チョウセンアサガオの咲く夏」

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美しい花には毒が在る。献身的に母の介護を続ける娘の楽しみとは・・・。（「チョウセンアサガオの咲く夏」）
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柚月裕子さんの小説「チョウセンアサガオの咲く夏」を読了。此の本は、１１の短編小説で構成されている。柚月さんと言えば、「刑事事件を専門に扱う敏腕弁護士で、元検察官の佐方貞人（さかた　さだと）が事件の真相を追うという『佐方貞人シリーズ』」、そして「映画『仁義なき戦いシリーズ』を思い起こさせる『孤狼の血シリーズ』」等、シリアスな作風で有名。

１１の短編小説の内、１つだけが非常に異質。「黙れおそ松」という作品がそうで、タイトルからも判る様に、赤塚不二夫氏の漫画「おそ松くん」（又は、ＴＶアニメ「おそ松さん」。）を題材にした作品で、思いっ切り馬鹿馬鹿しい内容となっている。シリアスな柚月作品を期待していた読者からすると「何なんだ！？」という思いが在るだろうし、「柚月さんって、こういう作品も書けるんだ。」という驚きも在ろう。

謎解きという点で言えば、全体的に“物足りなさ”を感じる。（「黙れおそ松」の様に、抑、謎解きでは無い作品も在る。）「チョウセンアサガオの咲く夏」や「サクラ・サクラ」、「お薬増やしておきますね」、「初孫」、「原稿取り」なんぞは、早い段階で“結末”が読めたし。なので、柚月作品を読み漁って来た人にとっては、がっかりさせられる本だろう。個人的には、「影にそう」と「ヒーロー」という作品が、「まあまあの出来だな。」と感じた程度。

総合評価は、星２．５個とする。