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防犯コンサルタント(本職は泥棒?)の榎本径(えのもと・けい)と弁護士の青砥純子(あおと・じゅんこ)のコンビが、4つの超絶密室トリックに挑む。
・ 「佇む男」
ドアの前に佇んでいた男の不審な死の真相は?
・ 「鍵のかかった部屋」
・ 「歪んだ箱」
地震によって作り出された理不尽な密室。
・ 「密室劇場」
馬鹿馬鹿しくも謎が極まる舞台上の殺人劇。
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「寡作」で知られた貴志祐介氏だが、昨年7月から今年の7月に掛けては3冊という“驚異的なペース”で新作が刊行されている。今回読んだのは、今年の7月に刊行された短編集「鍵のかかった部屋」だ。
素性の怪しげな榎本径がホームズ役、そして天然惚けの青砥純子がワトスン役を務め、不可思議な謎を解き明かして行くという「防犯探偵・榎本シリーズ」も、第一弾「硝子のハンマー」及び第二弾「狐火の家」に続き、今回の作品が第三弾となる。貴志作品はレヴェルの高い物が多いけれど、個人的には「防犯探偵・榎本シリーズ」は余り評価が高くない。面白い事は面白いのだけれど、心に残る物が無いので。
東野圭吾氏の「ガリレオ・シリーズ」を思わせる、理系テーストの短編集。其れは其れで面白いし、読ませる内容では在るのだけれど、矢張り“読後に残る何か”が無い。1度読んだらもう充分で、2度読もうとは思わない感じなのだ。強いて言えば、表題作でも在る「鍵のかかった部屋」は読んでいて心が動かされる物が在ったけれど、「密室劇場」に到っては「駄作」の一言。
総合評価は「がっかりしたなあ。」の星3つ。