2023年
日本
107分
青春/コメディ
劇場公開(2024/01/12)
監督:
山下敦弘
主題歌:
Little Glee Monster『紅』
出演:
綾野剛・・・成田狂児
齋藤潤・・・岡聡実
芳根京子・・・森本もも
橋本じゅん・・・小林
やべきょうすけ・・・唐田
吉永秀平・・・銀次
チャンス大城・・・尾形
RED RICE・・・峯
八木美樹・・・中川
後聖人・・・和田
井澤徹・・・栗山
岡部ひろき・・・松原
米村亮太朗・・・玉井
坂井真紀・・・岡優子
宮崎吐夢・・・岡晴実
ヒコロヒー・・・和子
加藤雅也・・・田中正
北村一輝・・・組長
<ストーリー>
合唱部部長の岡聡実はヤクザの成田狂児に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため上達しなければならないという。
青春も延長できたらいいのに。
―感想―
そうなのよ~白飯に鮭の皮てめちゃくそ上手いんよ。
分っているなあと思いつつも、あのシーン、どういう意味があったんだ?
「紅だあ!!!」
この歌の歌詞って、絶妙に狂児と聡実との出会いから友情を育むまでの流れと合っているんだよなあ。
だから聡実が大勢のヤクザの前で狂児に対する鎮魂歌としてこの歌を選んだのには意味があったし、又合間に2人の姿がフラッシュバックされるものだから、ちょっと感傷に浸ってしまったわ。
少年時代ならではの成長期(声変わり)によって担当していたソプラノの高さが出なくなった事に焦りをも抱く聡実の物語でもあり、狂児と共に過ごした日々を大切な思い出とする物語でもある。
事情を知らない後輩とのぶつかりなんかもあったりと、一人の中学生の青春映画としてはとても良く出来ていたんじゃないでしょうか。
鑑賞者の中には、ボロボロに泣いた、という人も居るみたいですね。
確かに聡実の渾身の「紅」熱唱シーンには心打たれるものがありましたよ。
ラストショットでの聡実がビルの屋上で、くしゃくしゃにしていた狂児の名刺をポケットから見付け取り出し、一言だけ発するシーンは
「映画を観る部」の部長が聡実に「(狂児との事は)マボロシだったんじゃない?」に対するアンサー。
作品的にも、妙に心が温まる綺麗な終わり方になっていたと思うな。
エンドロール後には、おまけの映像が用意されていた。
長らく音信不通だった狂児が聡実に電話を掛けていて、改めて「カラオケ行こ!」と誘うのだが、その狂児の右腕に注目すると「聡実」の刺青が。
これはヤクザのカラオケ大会で一番の下手には組長直々に「嫌いなもの」を彫られるという罰ゲームがあり、それを回避する為に狂児は合唱部の聡実に「先生」として教えを乞う訳なのだが、どうやら結果的に狂児が一番の下手糞となったようですね。
もしそうなった時の対処として聡実は狂児に「好きなものを嫌いだと言えば良いんじゃないかな」と助言しておりましたが、この「聡実」の刺青を見せる事で、如何に狂児は聡実を友達以上に人として好きであるかが形として現れている、正に粋な演出となっていて観ている私もニンマリとしてしまいました。
半ば強引な経緯はあったとはいえ善意で歌い方を教えて貰っているのですから、例え聡実がかなりの年下であっても全く威圧的な態度を取らず、低姿勢で接してくる狂児の姿に好印象を抱けるのも良い。
怒らすと無茶苦茶怖い人ですけどね(笑)。
その辺、聡実は上手く立ち回ったんじゃないかな。
描き方自体にも違和感をまるで抱かず、只々狂児と聡実の間に広がる優しい世界に笑いあり涙ありで、楽しく観れた良作でありました。
評価:★★★☆
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