昨夜の報道ステーションで池江璃花子さんのインタビューを見ていて、なんてまっすぐなお嬢さんなんだろうと感心してしまった。水泳の日本記録をどんどん更新して、世界の頂点が見えてきたというそのタイミングで、いきなり白血病によってどん底に落とされてしまった。今では不治の病ではないとは言うものの、髪の毛が全部抜けてしまうような闘病生活を強いられるのだ、若い女性にとっては容易なことではない。病気について説明を受けたときはさすがに大泣きしてしまったという。しかし、「大泣きしたけど、部屋に戻ったらもう頑張るしかないという気持ちになっていた」 という。普通はなかなかこうはいかない。すべてをかけて東京オリンピックに向けて精進していたのだ、それがオリンピックどころか命さえ危うい状況匂い込まれたのだ。自殺したくなったとしても不思議ではない。ところが、池江さんはとても素直で前向きな性格のようだ。「もう頑張るしかないという気持ちに」 という切り替えが素晴らしい。
「ここにいることが奇跡。生きていることが奇跡。自分の人生にとって大きなターニングポイント」
なかなか19歳の人が言える言葉ではないと思う。もう少しでオリンピックのメダルに手が届きそうだった。なのに、いきなり白血病にその道を断たれた。順風満帆の人生に突然無常の嵐が立ちはだかったのだ。おそらくこの世界の様相が一変し、実存の不安に襲われたことだろうと想像する。「生きていることが奇跡」とは無常の嵐をくぐり抜けたことの実感だろう。これは一つの悟りである。彼女は自身の実存を強く実感することにより、この世界の絶妙を知ったのだ。本当に素晴らしい女性だ。彼女のしなやかな心に触れて、私まで幸せな気持ちになった。ありがとうと言いたい。