性的少数者について「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。」と発言した首相秘書官が更迭されるらしい。岸田首相は「内閣の考え方にそぐわない、言語道断の発言だ」と述べたらしい。またかという感じである。政権中枢部の人がなぜこうもたやすく失言してしまうのだろう。正直と言えば正直な人なのだろうが、いわれない差別を公職にあるものが公然と口に出して良いわけはない。なぜそれが差別になるのか? その理由は簡単、性的嗜好(志向)はその人の責任ではないからである。首相秘書官になるほどの人だから頭が良いはずなのにこんな単純なことも分からないのか。
首相は「言語道断の発言」と断じたが、その発言が出たいきさつを聞くとどうも釈然としないものを感じる。岸田首相は2月1日の衆議院予算委で、同性婚の法制化について聞かれ「家族観や価値観、そして社会が変わってしまう課題」 と答弁した。荒井秘書官の「暴言」は、その首相答弁についてオフレコの前提で、記者団の質問に答えている中で飛び出したのである。荒井氏は「秘書官室は(同性婚に)全員反対で、私の身の回りも反対だ」と語ったとされている。この言葉を真に受けるなら彼の言っていることは「言語道断の発言」などではなく、内閣全体の雰囲気を代弁していることになる。
岸田首相は「同性婚は社会を変えてしまう」と言うが、どのように社会が変わるのか、そして変わることがどうして良くないのかということについて説明しなくてはならないだろう。そもそも自民党はダーウィンの進化論を援用(曲解)して「変化することが大事」であると訴えていたのではなかったか?(参照==>「教えて!もやウィン第一話 進化論」)
自分の主観で政策を決定してはならない。十分考えてきちんと説明すること、それは政治家にとって最も重要な仕事である。
国を出ていくと言っても、日本以外のG7はすべて同性婚制度が導入されているし、同性婚がこれからも認められないだろう国となると、イスラム教国や全体主義の国しかなくなってしまう。ダイバーシティを受け入れない人が適応するには、ハードルがかなり高いような気がかる。