ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

ユナイテッド93

2006年09月09日 | 映画
昨日レイトショーで見てきました。
公開4週目のレイトショーにしては人が入ってましたね。男女比率半々くらいの客層なのが面白かったです。

この映画、最初に話を聞いた時には、テロと戦った勇敢なアメリカ人たちの話、だったらやだなあと思っていたのですが、監督が「ボーン・スプレマシー」の人だと知って「なら大丈夫だな」と。「ボーン・スプレマシー」ではカール・アーバンをカッコ良く撮ってくれてた・・・じゃなくて(笑)淡々とした映像に好感が持てたので。
実際見て、観に行って良かったと思いました。
ドキュメンタリータッチながら私は結構泣けてしまって・・・隣の女性も泣いていましたね。

冒頭から、決行前夜の実行犯たちの映像で始まります。静かにコーランを唱え、礼拝し、体毛を剃る若者たち。(体毛を剃るのって何か意味があるんでしょうか)
操縦役の物静かな若者が印象的でしたが、他の若者たちも、あどけなさが残る若者たちで、彼らもまた死んでしまうという結末を思うとなんというか慄然としました・・・配役が上手かったと思います。
搭乗前の乗務員や乗客たちの、にこやかな日常の様子も、皆死んでしまうのだと思うと胸が痛むような思いでした。このあたり、表現の仕方によってはあざとくなってしまったと思うのですが、淡々としたドキュメンタリータッチだったのが非常に良かったです。
管制塔の様子、軍司令部の様子が、ドキュメンタリータッチで淡々と雑音も交えながら描かれていたのも良かったです。ひとつ間違えば「ウォーゲーム」みたいな感じになってしまったと思うので・・・(古すぎますね(汗))
ビルから煙が上がっている映像、飛行機がつっこむ映像は当時のホンモノの映像をそのまま使っていたので、当時の衝撃を否が応でも思い起こされました・・・いや私はリアルタイムでは見てないのですが(汗)テレビ見ないでさっさと寝てたので、翌朝ニュースで初めて知ったのでした。
かなりご本人が出演していたらしいですが、どの人かよくわかりませんでした・・・皆演技上手いなあ。
管制塔や軍司令部の人々の反応が、非常にリアルだったのも印象的でした。皆まだ当時の記憶もまだまだ鮮やかに残っているでしょうし。
なんというか、ただ「あそこにいるたくさんの人たちはどうなるの?」という、純粋な恐怖・・・ワールドトレードセンターの映像を見ながら、当時のあの感覚を思い起こしました。
管制塔や軍の人たちの反応も、同じものだったので・・・立場を超えて、同じ人間として同じ反応をしているところになにかホッとするものがありました。
でもこの後、同じものを見ていた人たちの反応が真っ二つに分かれてしまったわけですが・・・でもとりあえず、この瞬間に感じたことは皆同じだったのだと、そのことを忘れないでいたいと思うし、そのことを思い出させてくれたかな・・・
このユナイテッド93便は、かなり後になってから「墜落していた機がありました」という感じで報道されていたように思いますが、ハイジャックされているという事実がなかなか把握できなったのですね。そのあたりの状況も見られてなるほど、と思いました。
あれだけたくさんの飛行機が飛んでいて、ハイジャック機ではないかと疑われる機も何機もあって・・・国土が広く、国内便が数限りなく飛んでいるアメリカならではの状況でしょうか。
客室乗務員の電話も整備部につながってしまったり、乗客から家族への電話からもどの程度伝わったのか・・・
滑走路が混雑していて離陸が遅れたことで決行が遅くなったことが目標に到達しなかった原因だったことなども、なるほど、という感じでした。
決行をためらう実行犯、緊張の面持ちで爆弾を体にまきつける若者(あれ本当に贋物だったんでしょうか)、次第にただのハイジャックではないことを知る乗客たち・・・淡々と、次第に緊迫感を出して行く映像に引き込まれました。
自分たちが多分助からないと覚悟して、家族に最後の言葉を伝える乗客や乗務員たち。この最後の言葉は、遺族に取材したそうなので、そのままの言葉なのでしょう・・・
隣の女性が「あなたも大切な人に電話しなさい」と携帯を貸してくれて、「親切な人が家族に電話しろって電話を貸してくれたの」と話していた女性のエピソード?が一番堪えたかな・・・リアルで・・・彼女の演技も良かった。
実行犯たちも死の恐怖に怯えていたのがリアルで・・・彼らも皆死んでしまう結末を知っているから、ただ悲しくて仕方なくて、涙が止まりませんでした。

最後に「この映画を2001年9月11日に亡くなった全ての人に捧げます」というテロップが出ましたが、まさにそういう映画だと思いました。
善悪を問うのではなく、ただあの93便に乗っていた人々にそれぞれの人生があって、最後まで懸命に生きていた、その証を残すための映画なのだと。
そして93便に乗っていた人たちだけでなく、ひいてはあの日亡くなった全ての人たちに、それぞれの人生と命があったことを思い起こさせてくれたと思います。
テロでも戦争でも、事を起こせば人は死ぬのだと・・・そして、その時に人が死ぬということの重さを、ずっしりと描いていたと思います。
人は時がたてばいろいろなことを忘れてしまうけれど、その大事なことを今改めて思い起こさせてくれた映画だったと思います。

てなわけで今年見た映画の順位。
1.ナルニア国物語第一章ライオンと魔女 / 2.RENT / 3.僕の大事なコレクション / 4.ロード・オブ・ウォー / 5.フーリガン / 6.ユナイテッド93 /7.V・フォー・ヴェンデッタ / 8.ローズ・イン・タイドランド / 9.スタンドアップ / 10.シャガール ロシアとロバとその他のものに /11. ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス /12.キングコング / 13.ハリーポッターと炎のゴブレット / 14.DOOM / 15.サイレントヒル / 16.プロデューサーズ / 17.パイレーツ・オブ・カリビアン2デッドマンズ・チェスト / 18.ゲド戦記 /19.アンジェラ / 20.ダ・ヴィンチ・コード / 21.PROMISE / 22.フライトプラン
見終わった直後に考えてた順位よりかなり上がりました(笑)今年はホント当たり映画が多いです。
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ラジオドラマ聞き返し21

2006年09月09日 | 指輪物語&トールキン
ラジオドラマ、RotKに入ってやはり佳境になってまいりました。
ラジオドラマって、原作どおりRotKに入ると俄然面白くなるんですよね。このあたり、映画もミュージカルも今ひとつだったので(ミュージカルは今ひとつどころではなかろう・・・(汗))、ラジオドラマはすごいなあと思います。
でも、今日感想を書く、ナズグルの首領を倒すあたりにはちょっと不満もあるのですが・・・
でも改めてきいていて、やっぱり映画よりはいいよ、と思いました(汗)映画もこの程度の改変だったらなあ・・・

まずは城門でのガンダルフとアングマールの魔王の対峙。緊張が高まる中に聞えるローハンの角笛。このあたりはやっぱりカッコイイですねえ。なんで映画はこのままじゃダメだったんでしょうか。
原作どおり、ピピンにファラミアを助けてと頼まれてファラミアを助けることで他の生命が失われるかもしれない、と嘆息するガンダルフ。このあたりもカッコ良かったのに・・・なんで映画はやらなかったのかなあ。

場面変わってペレンノールで戦うセオデンたち。すぐに戦いに飛び込みますが、このあたりは映画の方が劇的でカッコ良かったのは確かですね。たとえエオメルの台詞がセオデンに取られちゃったとしても(笑)
しかしラジオドラマでは、ナレーションの変わりに男声ソロで詩のようにセオデンの戦いの様子が歌われます。このメロディ、セオデンのテーマというか黄金館のテーマというか・・・で、なんとローハンの角笛のメロディでもあります。
以前聴いた時は、セオデンの葬儀の際に詩人が歌った詩、もしくは黄金館を出発するときに使われたセオデンの死後に作られた詩なのかと思っていたのですが、むしろ原作の地の文にメロディをつけて歌っている感じだったのですね。
この演出はいいなあと思います! 優しいメロディなのがまた泣かせます。
こういう演出、ミュージカルでぜひともやって欲しかった演出なんですけどねー。まあ時間的に難しいかもしれませんが・・・
しかし、セオデンったらデルンヘルムと会話してますね~(汗)エオウィンだって本当に気づかなかったのか?(汗)後ろにホビットが乗ってたりもするだろうに・・・
セオデンが雪の鬣に「疲れているだろうが・・・」と声を掛けるの、原作にはなかったような。この後の展開を知ってるとちょっとじわっと来てしまいます。
で、エオウィンと魔王の対決ですが・・・デルンヘルムがメリーにちゃんと声をかけつつ戦いに行くのはまあいいんですけど・・・
エオウィンが自分は女だと正体を現したのに、魔王があまり動揺してないのがうーん(汗)
そしてエオウィンの「メリー助けて!」もうーん、だし、メリーに刺されて「Harflingsに刺されても痛くも痒くもないわ」みたいな感じで言っているのもうーん。ここでダメージ与えてなきゃエオウィンの助けにもなってないし・・・
そしてメリーの「エオウィン、今だ!」にも激しく違和感・・・
だいたいメリーが恐怖の中から勇気を搾り出すあたりも足りないんですよね・・・
でも、映画に比べたらはるかに良いわけで。映画もこのくらいの改変だったらまだしもなあ、と思いました。まあこんな感じでも文句は言ってたと思いますが(汗)
魔王を倒した後、エオウィンがまだ意識があってメリーに「王を助けて」みたいなことを言っているのが意外・・・
セオデンとメリーの会話が原作どおりなのは嬉しいですが、ラジオドラマのメリーとセオデンのかかわりも意外と少ないので、原作ほどの感動はないかなあ・・・ラジオドラマではむしろデネソールとピピンの方が絆?を感じます。
でも、これも映画に比べたらはるかに・・・ですね(汗)

まだまだ物語の佳境は続きます!
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