ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

ミス・サイゴン

2008年08月27日 | ミュージカル・演劇
プレビュー初日以来、今回の東宝のプロダクションのは2回目の鑑賞になります。
間にセントルイスをはさんでいるので、比較してどう思うかも自分で興味ありました。
ロビーには出演者全員が書いた色紙が。プレビューの時はなかったよな。
タム役の子たちも皆自分で書いてて微笑ましかったです。
市村さんは「ここが俺のアメリカンドリーム」とかなんとかいう言葉と共に舞台の絵が描いてあったのですが(絵上手いんですねー)、ホー・チミン像の前でポーズ取ってるエンジニア・・・。そこなんですか~!?
ほのかさんのがない・・・と思ったら2階にもあったんですねー。探しちゃった・・・(汗)
あ、プログラムを見てたら、ミス・サイゴンの公演記録が全部載っていて、先日のセントルイスのも出てました。MUNYって「ミューニー」って発音するんですね~
来年の博多座近辺のまで出てましたが、韓国のは載ってなかったです。
Ma-Anne Dionisioさんのキムデビューだったトロントが93年だったこともわかりました。うーん、いくつなんだ彼女・・・(汗)

セントルイスでむごいオケを聞いた後だったので、いつも文句ばっかり言ってるのに「オケいいじゃん」というスタンスに(笑)ピッチは微妙でしたが(開演前や幕間に、ピッチが難しい静かな和音のところを一所懸命練習してたのが印象的でした(汗))、速いところ崩壊してなかったもん。(・・・)
アンサンブルのレベルも高いですね~。結婚式の歌はきれいだし、男性アンサンブルも上手いなーと、ブイ・ドイ他で実感。
女性も皆スタイル良くて綺麗だし・・・(笑)
あと、やっぱりドラゴンダンサーがカッコイイなあ。あのマッチョな振り付け、アジアでならでは、ですよね~。ブロードウェイやウェストエンドではどうだったんだろう・・・
あ、ホー・チミンの旗、セントルイスではYouth Ensembleの若い子たちがふらふらと持ってましたが、帝劇の旗はもっとずっとでかかったです。重いだろうなあ・・・それをゆらぎもせずに持ってるんだから、やっぱプロですね~
帝劇のセットはスケールが大きくて、金網も高いし、やっぱり見ごたえあるなあと思いました。
でも、ヘリはやっぱり笑ってしまうんだよなあ・・・(汗)なんか四次元ポケットのように、「このヘリにこんなに乗れないだろ!」というくらい大勢乗り込んで行くところとか・・・

プリンシパルのキャストですが、この日は確か岸祐二さんのジョン目当てで取ったはず・・・。唯一の岸ジョンの日だったので、しっかり目に焼き付けて参りました~。
岸ジョン、役作りとしてどうなのかは何とも判断し難いですが、やっぱカッコイイなあ~。個人的にはとても好きなジョンですね。(ジョンが好きというか、岸さんが好きなんじゃあ・・・(汗))
ただ、ジョンはセントルイスで見たJosh Towerさんが良かったからなあ・・・。クリスとエレンに「甘すぎる」というところ、別に二人を責めているわけではないんだな、と、彼のジョンを観て初めて思いましたから。
日本のジョンは皆さん「で、クリスとエレンにどうして欲しい訳?」と言いたくなるんですが・・・。
多分、というかもちろん、ジョンにも正しい答えなんて分からないと思うんですよね。それでどうしてクリスとエレンを責められるんだろうって思ってしまう。
Josh Towerさんのジョンは、二人に「甘い」とは言っているけれど、二人の甘さを指摘しているだけで責めてはいない、と思いました。自分にもどうにもできないけれど、キムのことを思うと「それはあんまりだよ」と言わずにはいられなかった、という感じ・・・かな。とにかく優しいジョンで良かったなあ・・・
なんだかジョン語りになってしまいましたが(汗)3人目のジョン、坂元健児さんもどんなジョンなんだか楽しみですね。

いきなりジョンからになってしまいましたが(汗)
クリスは藤岡正明くん。歌が上手いのは知ってましたが、演技も良かったです。1幕に関しては今まで見たクリスの中で一番良かったかな。
アメリカで見て、「アメリカ人のクリスとヴェトナム人のキム」の関係がよくわかったというか、なんで二人が恋に落ちたのか・・・いや「恋」だったのか、というあたりがなるほど、と腑に落ちたのですが、今回は日本人同士なのに、結構クリスの気持ちがわかったというか、なんか納得できました。
歌はホントに上手いですね~。GENERATIONSで石原慎一さんに上手い上手いといわれていたのを思い出します。
なんか風貌的にも、ほのかさんとの組み合わせもそんなに違和感なかったです。でも、あの髪型似合ってないような気が・・・(汗)

知念キム、全然期待してなかったんですが、予想外に良かったです。
正直、今まで彼女はミュージカルには向いてないんじゃ・・・と思ってたんですが、一皮剥けましたねー。キムが合ってただけかもしれませんが(キムの演技はある意味ストレートでやり易いとは思うし)、きっと成長したんだろうと思います。
今まで日本のキムは松たか子さん、新妻聖子さん、笹本玲奈さんと見てきましたが、皆歌も演技も上手いし、気持ちも入っていると思うのに、何かが足りないように感じて・・・
そのあたりの「足りないもの」が、知念キムにはあったんですね。新鮮な驚きでした。
やっぱりキムは激しい方が良いなあ。それも、ただ激しいだけじゃなくて、魂揺さぶられる激しさが必要だなあと思う・・・
しかも、知念キムの役の解釈には「なるほど」と思わされて、ストンと胸に落ちて来るものがありました。
クリスに「一緒に暮らそう」と言われた後に抱きつくところ、不安な子供が「やっと助けてもらえる」としがみつくようで、ああ、なるほどなあと思いました。やっぱりただ「恋に落ちた」だけでは説得力ないんだよな・・・
3年後にトゥイが来た時も、単に「クリスが夫だから」と信じているからではなく、やっぱりタムがいるからダメなんだな、というのが感じ取れる役作りでしたね。これも、単にクリスへの愛から・・・という解釈よりはずっとリアルで納得できるなあと思いました。
トゥイを殺してしまって泣き叫ぶ姿には思わず泣いてしまいました。
タムへの思いも、さすが母、という感じでしたねー。「命をあげよう」とか良かったですね。
エンジニアに対してもなんだか素直でかわいい感じ。(まあ橋本エンジニアもなんだかかわいいしなあ)
セントルイスで見たMa-Anne Dionisioさんは別格としても、今まで観たキムの中では一番良かったですね。
本田美奈子さんのキムは見たことがなかったのですが、こんな感じに近かったのでは、と思いました。
ソニンも評判良いので見たいんですが・・・博多行くかな(笑)

橋本さとしさんのエンジニアは、いや~、好きですね~。
意外と笑わせるところなんかはノーマルな感じなんですが、アンサンブルに溶け込んでる感じがいいかなーと。
橋本エンジニアはどこか抜けててかわいくて、悪人になりきれない感じ。キムとタムに対しても、利用しようとはしているんだけど、なんだか情が移っちゃって・・・という雰囲気がありましたね。
市村さんも筧さんも、キムとタムには結構冷酷だよなあ。というか、普通はそういうもんなんでしょうが。
最後にキムが自殺した時に見せる表情が良くて、なんとエンジニアで泣けてしまいました~
アメリカンドリームも、かわいかったですね。でも、セントルイスの演出の方が好きだなあ、アメリカンドリームは。

泉見さんのトゥイ、プレビューで見てすごいと思ったんですが、セントルイスでマイケルを見た後だと、やっぱりマイケルの方がすきだなあと実感しました(汗)
泉見さんも歌かなり上手いと思うんですが、マイケルはもっととんでもなく上手いんだなあと、比較対象を得て実感いたしました。
でも、泉見さんのトゥイはやっぱり素晴らしいですね。
プレビューで見た時には「この人イッちゃってるよ・・・」と思ったものですが、今回見たら、考え方とか感情の高まりは普通じゃないけど、まあ人間だなあ、と思えました(?)
でも、亡霊のシーン、亡霊にしては感情入れすぎのような・・・あれはキムの悪夢なんだと私は思うのですが、本当にトゥイが化けて出てるって設定でやってるのかな。

で、ほのかさんのエレン。やはりプレビュー初日よりも進化してました。
メイクも上手くなってた? 藤岡正明くんとの組み合わせは結構違和感なかったです。見慣れたのかも・・・?(汗)
プレビューの時よりも歌い方なんかも肩の力が抜けたように感じましたし、声も回復してたように思いました。(最初の方、マンマ・ミーアやってたせいでかなり声変わってたように思うのです)
I Still Believeではじわっと来ました。前回は全く泣かなかったので、やはり進化してるんだと思います。
ホテルのシーンでは毎回マジ泣きしているようですね。今回も涙が本当に光っているのが見えました。
プレビューでは、キムにもタムにも優しい、初演の頃よりも大分優しいエレンになっていたと思いますが、今回は昔のエレンが少し戻っていた・・・かな?(昔のエレン見てないんですが)
キムに対して、プレビューでは哀れみの方が強く感じたんですが、今回は妻として「戦う」という感じが少し戻っていたように思いました。
詰め寄るキムに責められてよろめく感じも良かったな。これはキムの激しさあってこそ、でもありますが。
妻としての思いと、キムへの哀れみ。このあたりの葛藤が、エレンて本当に難しい役だと思うんですが、そのあたりの複雑な感情を難なくさらりと演じていて、さすがに年季が入っているなあ(汗)と思いましたね~。
クリスの告白で涙していたのは、クリスがかわいそうだからというだけでなく、哀しい物語そのものに涙していたように思えました。・・・というのはクリスの苦悩があまりかわいそうに思えなかったから?(私が(汗))
最後のシーン、キムに背中を向ける場面の背中はやっぱりさすがですねー。キムに対する哀しみが見えて。
タムに対しても、ゆっくり手を差し伸べて、この子を預かるということの重さを噛み締めて・・・それから抱きしめていたように思えました。
よく、「クリスとエレンが甘すぎて好きになれない」という感想をみかけますが、甘すぎた二人が現実を突きつけられるラストが苦くてよくできてるんだよな、と思うのですが。
そういう意味で、ラストのエレンの行動は物語の方向を示す重要なポイントだなあと。
今のほのかさんのエレンからは、現実の重さを受け入れ、苦しみを負いながら償って行こう、という、苦いけれどどこか希望も感じさせるなあと思います。

遊んでばかりでなかなか旅行記更新できない・・・(汗)明日はウーマン・イン・ブラックだし。
指輪原作読書もしてるんですが、全く感想書く暇がございません・・・
コメント
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