ネタバレ宣言以降は重大なネタバレを含みます。
春のイライジャ祭り第二弾(笑)ということで観に行きました。
おまけにナタリー・ポートマンまで出ていると聞いて、これは観なければと。
と言っても5分ずつのオムニバス映画と聞いていたので、イライジャもナタリーも出番は5分、というのはわかってたんですけどね。
二人とも出番は結構後の方でしたが、どの話もなかなかに面白く、楽しめました!
オムニバス映画なので、一つの映画として評価できるものなのか・・・なんて見る前には思ってましたが、不思議と一つの映画として観られました。
チラシには「小さな恋物語」なんて書かれていましたが、ラブストーリーはラブストーリーでも、恋人たちのラブストーリーだけではありませんでした。もっと広い意味での愛というか。
男同士もあったし、親子もあったし、孤独の中で思う愛、もあったし・・・
心が暖かくなるような話もあれば、笑える話もあり、という感じでした。
面白いな、と思ったのは、移民やパリの外国人の話が結構多かったことです。英語圏の役者が英語で話している話も多かったし。(ナタリー・ポートマンも英語でしたね。イライジャは台詞なかったけど)移民が多いのは今のパリの姿なのでしょうし、パリに憧れて訪れる外国人が多いのもまたパリの姿なんでしょうね。
まず最初に、パリの地名を冠したタイトルと監督の名前がクレジットで出ます。このことに気がつくのにかなり時間がかかりました(汗)
エンドロールで作品ごとのキャストが出たので、ここでチェックしておけば良かったなあ・・・と後で後悔・・・
さすがに全ての話の感想は書けないので(笑)印象的だったエピソードの感想をいくつか書いてみます。
ここからネタバレになりますので、これからご覧になる方はご注意を。
どの話が一番好きかな・・・と考えたら、アフリカ系移民の話「お祭り広場」でした。
現実と夢が交錯する作りが、なんか好きですねえ。(夢ではなくて、実際にソフィーとは出会っていたのかもしれないけれど)
時間を遡ったり戻ったりしつつ次第に状況が明らかになっていく作りも上手いなーと。こういうのも好きなんですよね。
主人公の青年が(名前忘れました(汗))、悲惨な状態にありながら、破滅的にならずに、あくまでも優しいのもグッと来てしまいました。
同じアフリカ系移民と言っても、解雇され職も住む所もない彼と、医学生のソフィーとでは状況は違うはずだけれど、それでも同じ移民として、何か心に通じるものがあったのでしょうね・・・。ソフィーのことは何も語られていないのに、ソフィーもまたパリでなにがしかの孤独を感じていたのかもしれない、なんて想像してしまいました。
あんな短い時間でこんなにたくさんのことを語っているなんて・・・とつくづくと感心してしまった一編でした!
移民の話では、2番目に出てきた、アラブ系の女の子に惹かれるフランス人青年の話も印象的でした。
最後に、モスクから出てきたちょっと怖そうな女の子の祖父が、「一緒に帰るか」と青年を受け入れてくれたところが、なんというかホッと心が暖かくなりましたね。
もうひとつ移民の話で、「16区から遠く離れて」も印象的でした。
スペイン系?(南米ってことはないですよね・・・?)の女性が、自分の子供を託児所に預け、他人のベビーシッターをして他人の子を同じ歌であやしている皮肉。
地下鉄を何度も乗り継ぐ道程や、子供をあやしながら窓の外を見る、その映像だけで彼女の孤独を感じさせて、これも短い時間でなんて上手く表現しているんだろう、と感心してしまいました。
スペイン語の子守唄を聴き取ろうと努力してみましたが、簡単な単語なのに今イチ聞き取れないのが情けない(汗)
多分「Lindos ojitos tengo yo...」と歌ってたと思うんですけど。「私にはかわいいお目目がある・・・私にはかわいいお手手がある・・・」とかそういう歌だったと思います。
移民と言えば、クリストファー・ドイル監督の中華街の話は、よくわからないながら笑えました(笑)
喜捨に取られた携帯が鳴ったらお坊さんが出て・・・というところがなんかすごくおかしかった(笑)
クリストファー・ドイルって聞いたことあるな・・・と思ったら、よく中国映画で撮影監督してる人ですよね。「HERO」とか「LOVERS」とか。それで中華街なのか、となんだか納得。
パントマイム夫婦の物語?の「エッフェル塔」もかなり好きです。
パントマイム男とパントマイム女の出会いのシーンとかその後の二人のデートとか笑えました~(笑)
最後には、二人の子供には二人がパントマイムで乗っている車が見えたり、とか、ハートウォーミングなところもあって・・・なんか気に入ってしまいましたね。
ちなみに、私パントマイム女はパントマイム男の人が二役でやってるのかと思ってたら・・・ちゃんと女性がやってたんですね(大汗)失礼しました~(汗)
日本人監督諏訪敦彦さんの「ヴィクトワール広場」も良かったです。
真夜中の街に響き渡る死んだ子供たちが遊ぶ声・・・結構日本人的な発想の作品だったかな、と思いました。
唯一この作品は泣いてしまいました。
イライジャの「マドレーヌ界隈」は、「なんじゃこりゃ?」と思いながら観ていましたが、最後には笑えてしまいました(笑)
なんとなくティム・バートンっぽいイメージがあったのは、ヴァンパイアの不自然な歩き方がティム・バートンの人形アニメっぽかったから? それともサントラで使われていたテルミンが「エド・ウッド」を思い出させたからでしょうか。(音楽ハワード・ショア・・・)
イライジャは恐怖に怯えるシーンが多くて、久々にフロドを思い起こさせました(笑)
ナタリー・ポートマンが出ていた「フォブール・サン・ドニ」は、ファンサービスかというくらいナタリーの魅力満載でした(笑)
「意味があって叫んだり、意味がなくて叫んだり」というところで叫んでいるナタリーがかわいかったなあ・・・
オチはどうなの、と思いましたけど(汗)ナタリーがかわいいから全部許す(笑)
盲目の青年との恋というと、「バタフライはフリー」を思い出します。(私が見たのは井上芳雄&高橋由美子の舞台ですが)
最後を締めくくる「14区」は、なんだか身につまされすぎてちょっと・・・(汗)
いや、よく海外を一人でフラフラ歩くもんで・・・私もあんな風なんだろうか・・・と思ったらちょっとブルーになりました(汗)
でも、外国で見知らぬ人たちの間で一人いる自分を感じる、あの感覚はちょっとわかるかな、と思いました。
ところで、この主人公の女性、「ミリオンダラー・ベイビー」に出ていたそうで・・・あ、もしかしてヒラリー・スワンクの母親役? うーむ(汗)
エンドロールでは、各作品に出てきた登場人物たちが再登場して、意外なつながりがわかったりして、ちょっと嬉しくなる作りでした。さすがに全員は出てきていなかったけれど。
ただ、登場人物の顔をよく覚えていないケースもあって、「あれ誰?」状態なことも多かったのがちょっと残念でした。
最初に出てきた二人は結局付き合ってるのね、とか、ナタリーと盲目の彼はその後も順調なのね、とか。
イライジャは、「デ・ザンファン・ルージュ」でアメリカ人女優がいたパーティー会場で出てきましたが、てことはあれは映画だったってこと・・・?
パリという街が舞台になっていることで、オムニバス映画なのに不思議と一続きの物語を観たかのような感覚にもなりましたね。
時間は普通の映画並みなのに20本も見られて、かなりお得な感じです。
そして、ちょっとパリに行きたくなりました。パリ、いいんですよね~。昔一度行ったことあるだけですが・・・いつかまた行けるといいんですが。LotRシンフォニーパリでやらないかな・・・(それがないと行かないんかい(汗))
という訳で今年見た映画の順位。
1.
ディパーテッド / 2.
それでもボクはやってない / 3.パリ、ジュテーム / 4.
マリー・アントワネット / 5.
ボビー /6.
墨攻
「お祭り広場」「16区から遠く離れて」あたりを単独で取り出したら1位にしちゃってもいい感じなのですが、トータルしたらこの辺の順位かなーと。でも1~3位は順位変わってもいい感じです。