京都の花街では、節分の時に行われる行事があります。
お化けといって、芸妓さんは歌舞伎などを題材にした仮装をしてお座敷を回り、舞妓さんはいつもとは違う髷を結います。
姿を変えて鬼に見つからないようにする、という意味があるようです。
この時期の芸妓さん達はとても忙しく、分刻みにお座敷からお座敷へと移動し、お茶屋さんだけではなく、花街の外にある料亭などにも出張されます。
私の友人は以前、節分の日にとある有名料亭で食事をしていたそうですが、別のお客様がお化けの仮装をした芸妓さんを呼んでいたそうで、お店の方からこれからお化けが来るので見ませんか?と声を掛けられ、お廊下から見物することが出来たそうです。羨ましいです(^^)
通常は、井上流の京舞しか舞わない祇園甲部の芸妓さんは、この日だけは京舞ではない、仮装に合わせた踊りを踊ったりするそうです。
私も節分の時に何度か京都に行ったことがありますが、芸妓さん扮する忠臣蔵ご一行や水戸黄門、桃太郎ご一行を見掛けたことがあります。
深夜の路地から、仮装をした芸妓さん達がぞろぞろと出てこられてびっくりしたものです。
花街によるようですが、舞妓さん達は仮装はしないで髪型を変え、黒い襟を掛けた町娘風の着物を着るのが多いです。
通常の割れしのぶ・おふく髷ではなく、お染・おしどり(雄または雌)・お俊・菊かさね・結綿・勝山などなど。
全ての舞妓さんが髪型を変えるということではなく、舞妓さんが所属する置屋さん、舞妓に出る時に見習いをした見習い茶屋の違いによっては、小さい舞妓さんのうちはダメで大きい舞妓さんにならないと、節分で変わり髷を結えないこともあるようで、同期の舞妓さんでも変わり髷を結える舞妓さんと結えない舞妓さんがいます。
殆どは二年目になると結える場合が多いようです。
基本的に、初めての時はお染という割れしのぶに橋という付け毛を掛けた髷を結い、次の年にはおしどりや結綿など、結える髷のバリエーションも増えていくようです。
勝山髷は夏の祇園祭の頃に結う髪型として知られていますが、節分の時にも結う場合があり、元々時代劇のお姫様のような豪華な髪型なのですが、両サイドから付け毛を垂らして、もっとお姫様のようにするのが流行っているようです。
そうなると勝山というよりは吹輪というお姫様の髪型という方が正しいのかな?
ある舞妓さんは、他の置屋の先輩や他の花街の舞妓さんが節分に勝山を結って両サイドから付け毛をつけようというのを聞き、自分もしてみたくて何ヶ月も前から髪結いさんに予約を入れていたそうですが、見習い茶屋のお母さんから「舞妓さんらしくないから」と許されず、結局違う髪形にしたそうです(^^;)
下げ髪と言って、嶋原の太夫さんが引退する時に結う特別な髪型を結って、黒紋付を着ていた舞妓さんもいて、とても豪華ないでたちで素敵でした。
ネットで知った情報によれば、今年はマイケル・ジャクソンの仮装をされた芸妓さんがいたとかいないとか。
ムーンウォークとかされたのかしら~?
是非見てみたいものです(^^)
※見習い茶屋というのは、正式に舞妓さんになる一ヶ月前から見習いとしてお座敷での振る舞いを学ぶ、格式のあるお茶屋さんをいいます。
所属する置屋さんが見習い茶屋も兼ねている場合もあります。
違う置屋や違う姉妹筋であっても、見習い茶屋が同じの場合は、また姉妹という事になるそうです。
舞妓さんにとって、置屋のおかあさん、姉芸妓以外に、見習い茶屋のおかあさんはとても存在が大きいのだそうです。
※画像はすべて私が舞妓変身した時のものです。
節分の変わり髷に関しては下記の記事でも紹介しております。
舞妓さんの髪型・お染(節分の変わり髷)http://blog.goo.ne.jp/haginon/e/fa003457b940dc6e58997323039e85c7
おしどり(雌)http://blog.goo.ne.jp/haginon/e/c774c30ad29883a3221d4167addedc43
お俊http://blog.goo.ne.jp/haginon/e/9c89810f9edb34f110844743c5155b83