「俳句四季」2014年7月号・東京四季出版 2014-06-20 | インポート 涼しさは鑒真さまの結跏趺坐 後藤比奈夫頂上へ急がず遅れず風薫る 矢須恵由糸とんぼ水の光に消えにけり 松田美子竹皮を脱ぎはじむべき時なるぞ 片山由美子石走る水の彼方の遅桜 ながさく清江捨てし街の鏡のなかを昼寝かな 中村安伸
仁平勝・句集『仁平勝句集』ふらんす堂 2014-06-17 | 俳句 探偵の一寸先は闇の梅 仁平勝丸薬をこぼす家長に梅匂う 同時計屋の一部始終や神の留守 同秋天に白球を追ひ還らざる 同合鍵を忘れてもどる冬銀河 同寝たふりをして木枯の音を聞く 同夜桜に行きつくまでの屋台かな 同ちり紙を落として拾ふ寒さかな 同
「刈安」No.11 2014-06-17 | 俳句 われ阿修羅雨水の町を通りけり 大木孝子MRIの洞の仰臥や魚は氷に 細川洋子ヒヤシンス炉心熔融をさまらず 永井和子上段の構へ動かぬ寒稽古 馬場由紀子連れに見え我には見えぬ狐火か 皿海和子
「海程」2014年6月号 2014-06-17 | 俳句 雲積めど放射能消えず流離かな 金子兜太枇杷の花けぶる少女らすぐ跼む 武田伸一淀みなく産み次々牡蠣を揚げており たかはししずみ湯ざめして身ぬちの星座あきらかに 月野ぽぽな戦前も戦後も黒き枯れ木かな 小野裕三二月の鳥光の結び目啄めり 守谷茂泰降る雪が止まっているよ遊園地 こしのゆみこ臘梅や父の電話のよく途切れ 山内崇弘
江良修・句集『長閑な他人』角川学芸出版 2014-06-14 | 俳句 大観覧車長閑な他人の時間かな 江良修十六夜や書店に僕が浮いている 同はみだしたところにこころ冬木立 同月と日と吾のなす初夏の三角形 同掬う手の水の脆さや冬の星 同