黒田杏子・句集『八月』角川書店 2023-08-29 | 俳句 ご夫君の黒田勝雄様よりご恵贈頂きました。生前のご厚情を思い出しては目頭が熱くなります。心より深くお礼申し上げます。 兜太待つ秩父往還まむし谷 黒田杏子 ゆく年のどの星となく慕はしく 同 春雷の那須野をわたりくるこだま 同 兜太詩語銀河しづかに溯り 同 音立てて天に到れる花篝 同 日が昇る枕元まで青田波 同 一ツ火のおほむらさきのいろの闇 同
仲 寒蟬・句集『全山落葉』ふらんす堂 2023-08-07 | 俳句 海底に沈む神殿月日貝 仲 寒蟬 がまの穂と答ふがまの穂かと問はれ 同 向日葵はおのが後ろの闇知らず 同 朝顔育て宇宙飛行士志望 同 名を付けてすぐに忘れて熱帯魚 同 峰雲の中に峰ある昏さかな 同 稲びかり猫の喧嘩に割つて入る 同 核弾頭ほどの筍いただきぬ 同 木枯に顔を置き忘れて来たり 同 鯉幟降ろせば太陽のにほひ 同 螢火や水音のして水見えず 同 凍滝の芯に月まで行く梯子 同 額の字を誰もが読めぬ敗戦日 同 瓢箪にくびれ作りし神を信ず 同