現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

今瀬剛一『水戸だより』ふらんす堂

2016-10-31 | 随筆

風の電車は花野発花野行き  今瀬剛一

しつかりと見ておけと瀧凍りけり  同

大祖の家紋涼しき下がり藤  同

どつかりと父の笑顔と今年米  同

雁渡る母には杖のごとき鍬  同


「対岸」2016年10月号

2016-10-31 | 俳句

咲き続けそのまま秋の薊なり  今瀬剛一

朴の花自己崩壊の途中なり  同

わき出づる汗いまだあり死なぬなり  同

猿田彦矛を杖とし炎天下  成井侃

梅雨の蝶雨の重さは知らぬなり  今瀬一博

帰省して平らに眠りゐたりけり  福井隆子

形代の揺り戻されて海近し  岡崎桂子

涼しさや祝詞が巡る森の中  植野康二