現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

「晨」平成26年9月号

2014-08-30 | 俳句

病葉を降らす大樹に歩み寄る  大峯あきら

夜の茅の輪たつたひとりを待つてをり  浦川聡子

水草生ふ職ある時もなき時も  涼野海音

月の出の風鈴じつとしてをりぬ  黛執

おくれ来し人のまとひし落花かな  山本洋子

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「藍生」平成26年9月号

2014-08-28 | 俳句

風招き風に崩るる白蓮  黒田杏子

青田風わが細胞の潤ひに  鈴木牛後

薔薇園に集まつてくる山の霧  田正子

祭笛潮入の川底が見え  岩田由美

読みかけてすぐやすみけり花は葉に  中岡毅雄

スサノオの灯に浮かぶ宵宮かな  五十嵐秀彦

大樹から風の湧き出す子どもの日  三島広志

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『俳句四季』2014年9月号

2014-08-28 | 俳句

死に至る病といふ書明け易し  有馬朗人

天空を抱いて朝露転がれる  浅井愼平

夕焼に舌を飛ばしてカメレオン  中村和弘

大夏木蜜蜂の巣を蔵したり  大串章

大海に水母は夢の数ふやす  上田日差子

鶏頭にとどこほりゐる時間かな  髙柳克弘

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星野立子・星野椿・星野高士・句集『三代』飯塚書店

2014-08-11 | インポート

下萌えぬ人間それに従ひぬ  星野立子

美しき緑走れり夏料理  同

蓮咲いて水の月日の始まれり  星野椿

蜩と蜩つなぐ山の風  同

傾きし日を抱きたる大瀑布  星野高士

立秋や机の上に何もなし  同

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- 俳句空間 -「豈」56号

2014-08-10 | 俳句

風邪薬溺れる苔の匂ひかな  花尻万博

わだつみの母郷つらつら椿かな  恩田侑布子

松籟を夜伽のころと思いけり  曾根毅

もの書く手宇宙の奥に秋灯  冨田拓也

芹なずな遊び呆けて土になろ  池田澄子

菜の花や涙の鳥のウクライナ  大井恒行

石を彫る音くぐもれり春の雨  堺谷真人

さざ波に骨よく見えて春の海  橋本直

逃水の将門塚に失せにけり  真矢ひろみ

欠伸して済ます桜の由緒なり  森須蘭

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「海程」2014年8・9月号

2014-08-10 | 俳句

ひぐらしの広島長崎そして福島  金子兜太

心理療法は終り菜の花ほの暗し  安西篤

みずうみに水あつまれる朧かな  塩野谷仁

青葉木菟谷に灯らぬ家蔵す  武田伸一

すいかずら泣きべそ天女降りて来し  山中葛子

恋猫の声と星座と混み合うよ  月野ぽぽな

石鹸に春のくぼみや一人暮らし  宮崎斗士

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