春の水まだ息を止めておりにけり 曾根毅
桃の花までの逆立ち歩きかな 同
さくら狩り口の中まで暗くなり 同
初夏の海に身体を還しけり 同
爆心地アイスクリーム点点と 同
草いきれ鍵をなくした少年に 同
竹の秋地中に鏡眠りおり 同
時計屋に空蟬の留守つづきおり 同
春の水まだ息を止めておりにけり 曾根毅
桃の花までの逆立ち歩きかな 同
さくら狩り口の中まで暗くなり 同
初夏の海に身体を還しけり 同
爆心地アイスクリーム点点と 同
草いきれ鍵をなくした少年に 同
竹の秋地中に鏡眠りおり 同
時計屋に空蟬の留守つづきおり 同
夏至の夜や輪廻断たんと漕ぐ鞦韆 有馬朗人
生きてきて粽を食べておりにけり 森下草城子
山清水ひかりとなりて苔に沁む 加藤耕子
近代俳句の詩学を俳句史を通して詳細に解析した好著と思いました。ここを踏まえてこそ現代俳句の更なる発展が期待されるのではないでしょうか。
肉片を返すがごとく畑打てり 島田牙城
神苑に思はぬ尿意柏散る 中村与謝男
白梅に蜂に寄りたる日和かな 天宮風牙
自転車が自転車を抜き日の永さ 佐藤文香
指全部はなれし苹果卓の上 男波弘志
雲が波うつて卒業前夜かな 中山奈々
野火を追い火の裏側へ来てしまう 河西志帆
堤防に尻を並べて春満月 仲寒蟬
玉句右往左往(男波弘志)で、「帚木や真昼の星を集めたる 五島高資」の句評を頂きました。深謝。
川と川出あひて濁る寒紅梅 澤好摩
こめかみに光集まるゆず湯かな 橋本七尾子
いきんでも羽根は出ぬなり潮干狩 山田耕司
つばくらめ雲のすき間に母の胸 今泉康弘
三人のくらしの中に蝶生まる 岡田耕治
時に点く電球のあり卒業式 同
花吹雪竜宮門を出てきたる 同
夏の星地下鉄に乗りつながらん 同
マシュマロの間に小さき春の闇 金子敦
ごきぶりを入れて視界といふがあり 杉山久子