現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

月野ぽぽな・句集『人のかたち』左右社

2024-08-10 | 俳句
街灯は待針街がずれぬよう  月野ぽぽな
真水汲むように短夜のFM  同
松茸に太古の空の湿りあり  同
まだ人のかたちで桜見ています  同
太陽は遠くて近し芒原  同
手袋に旅立ちの指満たしけり  同
 

坪内稔典・句集『リスボンの窓』ふらんす堂

2024-08-07 | 俳句

ころがしておけ冬瓜とこのオレと     坪内稔典

長崎に住もう枇杷咲く五、六日     同

リンゴにもオレにも秋の影ひとつ     同

ねじ花が最寄りの駅という日和     同

夕べにはすっかり晴れて栗ご飯     同


佐怒賀正美・句集『黙劇』本阿弥書店

2024-08-06 | 俳句

地平の目まだ半びらき真葛原     佐怒賀正美

乗るによき父の背いつか天の川     同

地球まだ知られぬ星か磯焚火     同

亀鳴くや天の沖には磁気嵐     同

くねりだす街の石みち鳥渡る     同

青嵐や骨のみで立つ電波塔     同