街灯は待針街がずれぬよう 月野ぽぽな
真水汲むように短夜のFM 同
松茸に太古の空の湿りあり 同
まだ人のかたちで桜見ています 同
太陽は遠くて近し芒原 同
手袋に旅立ちの指満たしけり 同
ころがしておけ冬瓜とこのオレと 坪内稔典
長崎に住もう枇杷咲く五、六日 同
リンゴにもオレにも秋の影ひとつ 同
ねじ花が最寄りの駅という日和 同
夕べにはすっかり晴れて栗ご飯 同
地平の目まだ半びらき真葛原 佐怒賀正美
乗るによき父の背いつか天の川 同
地球まだ知られぬ星か磯焚火 同
亀鳴くや天の沖には磁気嵐 同
くねりだす街の石みち鳥渡る 同
青嵐や骨のみで立つ電波塔 同