現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

「小熊座」2025年2月号

2025-02-08 | 俳句

また回り出す年越の換気扇  高野ムツオ

無辺へと千手を垂らし菊枯れる  同

不立文字風に渦巻く落葉こそ  同

天の狼咆哮雪が降り出せり  同

冬の蝿昨日の朝日今日も浴び  同

終末に備え固まる黒海鼠  渡辺誠一郎

数え日や終わらぬ旅の旅衣  同

産声を忘れ宣戦布告かな  同


「対岸」2025年2月号

2025-02-08 | 俳句

障子貼りゐていつの間に囲まれし  今瀬剛一

冬の星糸で繋いで贈らむか  同

瀧凍り始める寒さかと思ふ  同

ショール巻いて母が見えなくなりしかな  同

やがて会ふはずの枯野の二人なり  同

瀧深く隠して山の眠るなり  今瀬一博

鮟鱇の腹の白さよ雪催  同

目瞑れば吾も大柚冬至風呂


大木あまり・句集『山猫座』ふらんす堂

2025-02-05 | 俳句

ペンギンの胸の広さや春隣  大木あまり

霜の花忘るるために歩きけり  同

鎌倉の水羊羹と無常観  同

マスクして逢ふや双子座流星群  同

立ち泳ぎするかに揚羽飛ぶことよ  同

入院も旅と思へば冬うらら  同