また回り出す年越の換気扇 高野ムツオ
無辺へと千手を垂らし菊枯れる 同
不立文字風に渦巻く落葉こそ 同
天の狼咆哮雪が降り出せり 同
冬の蝿昨日の朝日今日も浴び 同
終末に備え固まる黒海鼠 渡辺誠一郎
数え日や終わらぬ旅の旅衣 同
産声を忘れ宣戦布告かな 同
また回り出す年越の換気扇 高野ムツオ
無辺へと千手を垂らし菊枯れる 同
不立文字風に渦巻く落葉こそ 同
天の狼咆哮雪が降り出せり 同
冬の蝿昨日の朝日今日も浴び 同
終末に備え固まる黒海鼠 渡辺誠一郎
数え日や終わらぬ旅の旅衣 同
産声を忘れ宣戦布告かな 同
障子貼りゐていつの間に囲まれし 今瀬剛一
冬の星糸で繋いで贈らむか 同
瀧凍り始める寒さかと思ふ 同
ショール巻いて母が見えなくなりしかな 同
やがて会ふはずの枯野の二人なり 同
瀧深く隠して山の眠るなり 今瀬一博
鮟鱇の腹の白さよ雪催 同
目瞑れば吾も大柚冬至風呂
ペンギンの胸の広さや春隣 大木あまり
霜の花忘るるために歩きけり 同
鎌倉の水羊羹と無常観 同
マスクして逢ふや双子座流星群 同
立ち泳ぎするかに揚羽飛ぶことよ 同
入院も旅と思へば冬うらら 同