小太郎の尾根震はせし当薬竜胆 干野風来子
十二天在せば胡桃のこぼれ沼 同
天狼星へ向かひレールの進みけり 同
戸隠山や雲のゆくへは蕎麦の花 同
月あかり葛の葉うらに遊びけり 同
米洗ふ背中に春の山ひとつ 同
小太郎の尾根震はせし当薬竜胆 干野風来子
十二天在せば胡桃のこぼれ沼 同
天狼星へ向かひレールの進みけり 同
戸隠山や雲のゆくへは蕎麦の花 同
月あかり葛の葉うらに遊びけり 同
米洗ふ背中に春の山ひとつ 同
わが航海暗室の水を滑るかな 榎本バソン了壱
竹売りの竹に絡まる天の川 同
月と雲とまた上になり下になり 同
金福寺月はおぼろに東山 同
洋上に硫黄島見ゆ骨の音も 金子兜太
歳を重ねて戦火まざまざ桜咲く 同
十一面より二面おそろし春彼岸 安西篤
ひざまずく山河ありけり冬の虹 武田伸一
少子高齢みずみずしきは芹なずな 瀬川泰之(海程秀句・金子兜太抄出)
凍蝶がゐてすぐそばの遠い場所 柳生正名(海程秀句・金子兜太抄出)
まず富士に日のさす冬のちまたかな 五島高資(海程秀句・金子兜太抄出)
三月の海ひとりづつ影がある 小川軽舟
鶯の声撥ね上げて谿青し 同
雪解川くぐりし橋をかへりみず 同
銀紙の引つかかりをる蓬かな 同
青空は虚言ゆるさず氷面鏡 奥坂まや
風船の影振り切つて飛び立てり 加藤静夫
人の死に石を据ゑたる雲雀かな 柳克弘
凍星や盲腸線の終点に 高野ムツオ
人間の数だけ闇があり吹雪く 同
甌穴の小石もよかり又の世は 同
日高見の尾てい骨骶骨より蘖ゆる 土屋遊蛍
人間はものにすがりて春の月 渡辺誠一郎
春愁の炉心の底の潦 同
天からの力垂直花の冷 大場鬼怒多
星みがく係りがいいと卒園す 栗林浩
雛段のごとく石積み海の町 佐藤成之
ふはふはの土となりたる春の月 島田牙城
組み立てる前の虫籠散らばれり 男波弘志
クリスマスツリーの下をとほりけり 堀下翔
太陽をひとりにさせて枯木立 仲寒蟬
ふはふはの土となりたる春の月 島田牙城
組み立てる前の虫籠散らばれり 男波弘志
クリスマスツリーの下をとほりけり 堀下翔
太陽をひとりにさせて枯木立 中寒蟬