現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

「香天」2015年1.2月号

2015-02-28 | 俳句

金柑の奥に一人が暮らしけり  岡田耕治

十二月光るゲームの中にいて  同

冬の月家の中までついてくる  同

悪人のここに射しくる初明り  同

裏白を折りては風に放ちけり  同

黒板は森林のいろ冬に入る  金子敦


「火星」平成27年1月号

2015-02-20 | 俳句

スケボーの捩ぢり反しぬ秋の風  山尾玉藻

陵の鉄扉の匂ふ小春かな  同

糸口といふがどこかに枯蓮田  同

てのひらに受けひとはだの龍の玉  同

もういちど松に目をやり掃納  同

わが前をゆく蟷螂の振り向かず  涼野海音


「円錐」第64号

2015-02-19 | 俳句

土砂降りを燈る市電の揺れつ去る  澤好摩

蟷螂の卵とほくに阿弥陀仏  同

枝わかれして月の出を待つ欅  橋本七尾子

この道は樹海に到る春の色  同

目刺焼く銀漢のこの裏口の  山田耕司

おのがじし舐めきれざるも音の雪  同


− 同人アンケート「わが前衛三句」抄 −

 橋本七尾子 選

洋梨の一回転に老いる星  正木ゆう子

乱心を笑う乱心菊咲けり  五島高資

少年老い易くダイヤモンドダスト  渡邊誠一郎


「海程」2015年2・3月号

2015-02-19 | 俳句

産土の落葉ここだくお正月  金子兜太

人の暮しに星屑散らす枯野かな  同

月見団子生死の区別無き世界  相原左義長

眇なる日なりし石榴高かりし  塩野谷仁

山の辺の道や赤き蛾ひとつ容れ  武田伸一

シリウスに見られ背骨を矯正す  松本勇二

冬蝶のごとくに頭痛去りにけり  守谷茂泰


「里」2015年2月号

2015-02-12 | 俳句

犬の屍を小屋から出すに遠く雪山  島田牙城

独楽の軸ぶれて天狼星しづむ  仲寒蟬

小寒や砂鉄集むる棒磁石  天宮風牙

石段をいろはにほへと初御空  倉田有希

まばたきのそれも苹果となるだらう  男波弘志

からす飛ぶ一月の空の力かな  上田信治

たてがみを靡かせて年逝きにけり  ひらのこぼ

コンセントの奥はまっくら近松忌  河西志帆

蓬莱や柱はしらに日のひかり  媚庵