天空に鳴る冬柏一茶の忌 黒田杏子
天高し海ある方もなき方も 岩田由美
落蟬を抛る風よりも軽し 三島広志
ひとりきりになりたし秋の蟬しきり 中岡毅雄
天空に鳴る冬柏一茶の忌 黒田杏子
天高し海ある方もなき方も 岩田由美
落蟬を抛る風よりも軽し 三島広志
ひとりきりになりたし秋の蟬しきり 中岡毅雄
吸い(ママ)殻のみな折れてゐる 島田牙城
長き風吹いてゐるなりクリスマス 堀下翔
ペコちゃんは右に舌出す万愚節 天宮風牙
湯たんぽの中の大航海時代 仲寒蟬
時雨来て日矢移りゆく湖北かな 樽本いさお
また別のところに立ちて見る檸檬 男波弘志
冬当あたたか郵便局が年をとる 上田信治
冬晴や読まれて手紙楽になる 小川軽舟
鷹の影みなぎり獲物とらへたり 同
手のひらに血のつどひ来る手鞠かな 同
歳晩やまつくらがりの向う岸 奥坂まや
落日に近づくこころ落葉踏み 柳克弘
冬の陽を乗せて窓辺の銀の匙 浅井愼平
霙降る人間の耳烏賊の耳 菅野孝夫
岩ひとつ責められている雪解川 寺井谷子
吊橋は死者たちのもの雪解谷 宮坂静生
しぐれ来るこぼれ石積む武家屋敷 松尾信隆