初御空我上り坂米寿越え 日野原重明
カンナの緋わがからだにぞもえるショパン 同
癌を病む若もの診たあと星仰ぐ 同
あやまちを犯した傷をゆるし合おう 同
さっそうと揺れるコスモス風のまゝ 同
滋賀の里琵琶湖にかかる虹の橋 同
初御空我上り坂米寿越え 日野原重明
カンナの緋わがからだにぞもえるショパン 同
癌を病む若もの診たあと星仰ぐ 同
あやまちを犯した傷をゆるし合おう 同
さっそうと揺れるコスモス風のまゝ 同
滋賀の里琵琶湖にかかる虹の橋 同
曇天を大きな桃の実と思ふ 西原天気
あるだけの林檎をコインロッカーに 同
葡萄ひとふさ電線を見て過ごす 同
虫すだく8ポ活字の『草枕』 笠井亞子
蟋蟀の動悸激しき位牌の金 同
行列の先頭狙う鬼やんま 同
この明るさ鯤の体内かもしれぬ 宗田安正
をらずともすでに来てをり蝸牛 同
砂浜掘る虹の欠片の出づるかと 同
古池に翁の魂を釣り上げし 同
顳顬というて霞に近きもの 同
昼寝より起ちて巨人として去れり 同
磨ぐまへの米の温さよ良寛忌 中原道夫
茫洋と春のみづうみ國土なす 同
にんげんに卒業あらばその後何 同
バックミラーの逃水に追はれたる 同
いくそたび標的を外せる稲光 同
對といふ船形石の涼しさよ 同
午前より午後のみじかし藪椿 同
山開き磁石に意志の生じたる 同
噴水の天頂の玉入れ替はる 同
狼は時閒の溪閒さかのぼる 同