昼寝どき人の訪れ黄水仙 金子兜太
木の家の重石となりて鏡餅 鷹羽狩行
初明り庭に松影置きそめし 稲畑汀子
東京は大敗荷田初日射す 宮坂静生
結界と定めた石に初日影 宇多喜代子
元日やたましひの札切ちりぢりに 斎藤愼爾
渾沌に無縁の刻の餅を焼く 佐怒賀正美
正月の雀と僧とされかうべ 高橋将夫
昼寝どき人の訪れ黄水仙 金子兜太
木の家の重石となりて鏡餅 鷹羽狩行
初明り庭に松影置きそめし 稲畑汀子
東京は大敗荷田初日射す 宮坂静生
結界と定めた石に初日影 宇多喜代子
元日やたましひの札切ちりぢりに 斎藤愼爾
渾沌に無縁の刻の餅を焼く 佐怒賀正美
正月の雀と僧とされかうべ 高橋将夫
木枯しも順風逆風ありとせん 新谷ひろし
そらまめやここはやっぱりあやまろう 門野ミキ子
からす瓜なみだあみだと駆けのぼる 佐藤瑞穂
五月闇書庫には鍵がもう一つ 仲田陽子
はつあきの体すみずみまで水面 月野ぽぽな
ていねいに絮のせてゐる秋の風 石母田星人
第11回ジュニア俳句祭・文學の森賞受賞
昼寝してホットケーキになっちゃった 木坂知望
(横浜市立洋光台第一小学校六年生)
秋気澄む日は金箔がよく延びる 高橋将夫
煮えたぎるものに音あり秋の風 同
陵につづくみささぎ秋のこゑ 水野恒彦
水底の石乾びをり豊の秋 加藤みき
天の川猿のこしかけ太りをる 雨村敏子
鶏頭の傾ぎを支ふ壁白し 嶋田麻紀
心霊が古呂呂牟呂呂ちちろ虫 松浦敬親
口漱ぐ水にもありし秋の声 長山順子
おとがひに風を捉へし風の盆 庭野治男
旅先の芒をつなぐ家路かな 稲畑汀子
コスモスの色を分けゆく風の先 同
わだつみの命へ掛けて秋の虹 坊城俊樹
ひとつだけがらんどうなる露の家 同
露けしや日々を働く重機音 今村征一
胸に棲む獅子の雌伏や初御空 磯貝碧蹄館
海に神輿を担がむ腿に筋金入る 同
夜ざくらや膀胱にある水あかり 同
翼なき身を青葱の中に置く 同
トパーズの太陽を置き秋日和 木暮陶句郎
秋高し無限を映すビルの窓 同
秋風や隙間だらけの町に住み 槽谷節子
言はないと決めてひたすら生姜する 中野千秋
黒潮の色を焦がして秋刀魚焼く 相庭白雨
鶲来て昨日の月影を啄ばむ 金子兜太
桃食って友の安否が手に残る 相原左義長
モルヒネの覚めて繊月のまぶしさ 安西篤
香水に従きて倶利伽羅峠まで 塩野谷仁
ハツカネズミ窺う風神雷神図 武田伸一
雨立ち込めて昆虫展の奥に人 小野裕三
夾竹桃抱えられない昼があり 守谷茂泰
軍艦島かごめかごめでいなくなり 河西志帆
銀漢や腰までひたる男体山 五島高資