日盛を座頭鯨の遠ざかる 中田美子
春眠の深きところに息をする 岡田由季
月上がるかすかに草の匂いして 小林かんな
凩やオリオンの股抜けてきし 仲田陽子
日盛を座頭鯨の遠ざかる 中田美子
春眠の深きところに息をする 岡田由季
月上がるかすかに草の匂いして 小林かんな
凩やオリオンの股抜けてきし 仲田陽子
音楽やとほくにこほり見にゆけり 宮本香世乃
春の木が爛れて窓が開けてある 田島建一
逃水の向うが今の時刻かな 鴇田智哉
星のない土が耕されて眠る 福田若之
いつかつかう箱うつくしく春の家 こしのゆみこ
光る字を押すと湯の沸く雪夜かな 田島建一
心音をふたつ並べて月を待つ 月野ぽぽな
砲台にあぢさゐのありありとある 宮本佳世乃
茅の輪くぐる脱獄のよう 室田洋子
後輪のもたもたとして曼珠沙華 大石雄鬼
見返しを銀河と思ふ漢詩集 岡田由季
こいのぼり方向音痴でも愉快 小野裕三