磯遊びぞろぞろ婆戻り来る 茨木和生
泉あり古墳をひとつ抜けたれば 同
ひぐらしや杉はますます真直ぐにて 同
地域に根ざした俳人だからこそ、俳句を通して、時空を超える「みちのく」の風土における聖性が発揮されています。
人だけにある幸不幸草萌ゆる 木暮陶句郎
風鈴に風が砕けてをりにけり 同
榾火燃ゆオンザロックの氷にも 同
星までの距離思ひけり刈田道 三島広志
いつからを夕空といふ桐の花 同
寒星や魂の着る人の肌 同
次の世は雑木山にて芽吹きたし 池田澄子
蓬萊やプラスチックは腐らない 同
この道に人影を見ぬ淑気かな 同
開闢を知つてゐさうな大海鼠 仲寒蟬
流し雛目に見えぬものおそろしく 同
木も牛も影濃くなりぬ夏の牧 同