てのひらを一度上向け春耕す 岡田耕治
散る花の中を昇れる花のあり 同
天道虫声を立てずに笑いけり 同
よく空を飛べる形に羊歯飾る 同
落蝉やもう一度飛ぶ形して 同
どこまでも正解のない秋の空 同
てのひらを落ち着かせたる冬林檎 同
もう少し電車にいたい秋の暮 同
てのひらを一度上向け春耕す 岡田耕治
散る花の中を昇れる花のあり 同
天道虫声を立てずに笑いけり 同
よく空を飛べる形に羊歯飾る 同
落蝉やもう一度飛ぶ形して 同
どこまでも正解のない秋の空 同
てのひらを落ち着かせたる冬林檎 同
もう少し電車にいたい秋の暮 同
風を呼び風に従ひ凧上がる 永田満徳
薄氷の縁よりひかり溶けてゆく 同
大波に攫はるるごと昼寝かな 同
黙すまで聞き役となる涼しさよ 同
鶴の声天の一角占めにけり 同
天草のとろり暮れぬ濁り酒 同
年迎ふ裏表なき阿蘇の山 同
落葉踏む音に消えゆく我が身かな 同
過去のごと山重なりて夕霞 同
夏蒲団地震の伝はる背骨かな 同
争ひの双方黙る扇風機 同
白鷺のおのれの影に歩み入る 同
追はざれば振り返る猫漱石忌 同
春の雪いづれの過去のひとひらか 同
巌一つ寒満月を繫ぎ止む 同
不知火や太古の舟の見えてきし 同