現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

「鷹」平成28年2月号

2016-01-25 | 俳句

元日や見渡すかぎりものに位置  小川軽舟

吊革の拳に朝日松過ぎぬ  同

万象枯れ人間の声なまぐさし  奥坂まや

冬至なり古墳の丘に山を見て  大石香代子

南洋を知らぬジュゴンや冬日さす  柳克弘


「香天」2015年11・12月号

2016-01-25 | 俳句

秋の空転びし者が見ていたる  岡田耕治

かりんの実大きな自己にならんとす  同

落ち石榴そこから全て見ておりぬ  同

ひとりでにほどけてゆけり卵酒  同

千の手の六百が出て冬日影  同

この先は子どもに還る冬銀河  同


「詩歌句年鑑2016俳句編」北溟社

2016-01-10 | 俳句

 諸家自選五句より

寒月を仰ぎて鍵を探しをり 今井千鶴子

水中花別の人生などなけれ 上野一孝

冬晴や読まれて手紙楽になる 小川軽舟

枯れすすき光芒乱れては整ふ 奥坂まや

詩の水脈のしんしんとあり月浄土 角川春樹

航跡といふさよならやサングラス 木暮陶句郎

寝過ごしてひとり降り立つ銀河かな 五島高資

河は海へ海は彼の世へ暮の秋 佐怒賀直美

春の灯の離ればなれに睦みゐる 黛まどか