現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

「俳句新空間」(2015.夏)No.4

2015-08-24 | 俳句

男性のトイレが開け山笑ふ  筑紫磐井

昇りつつ蔦の枯れゆく炎かな  五島高資

光こそ虚無なれ石充つる二日  関悦史

キュビズムの顔してをりぬ去年今年  望月士郎

地下鉄の潜り抜けきし春の土  小野裕三

飛行機の巨大な影や潮干狩  仲寒蟬

藤棚の下は黄泉への非常口  山本敏倖

無意識の底へと向かふ蝌蚪の列  堺谷真人

助走の前小さくうなずいて陽炎  宮崎斗士

 

 


「海程」2015年8・9月号

2015-08-24 | 俳句

峡に住み蝮も蠍座も食べる  金子兜太

雨期でもいい五月は俺の母港だから  相原左義長

その鍵は月光館に置いてある  前川弘明

下の名で呼ばれ夏蚕のごとく反る  松本勇二

花こでまり寺子屋きっとこんな音  宮崎斗士

人間は人間を産み花は葉に  マブソン青眼

ペリリューへめぐる緑や川明かり  五島高資