現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

鴇田智哉・句集『凧と円柱』ふらんす堂

2014-10-13 | 俳句

風船になつてゐる間も目をつむり

まんなかが窪む遅日のひとだかり

石ながくのびてゐるなり秋の風

亀鳴くとビルのあひだに挟まれぬ

蟬の死にぱちんぱちんと星が出る

秋風の岬へ道のせり出せり

沢瀉の夢に三人来てをりぬ

常緑の夜のエンジンの透けてきぬ

サルビアは思ひ違ひをしてゐたか

円柱の蟬のきこえる側にゐる


「里」2014年10月号

2014-10-07 | 俳句

霧流れはじめ着替への途中たり  島田牙城

新涼や頰杖のあと肘枕  ひらのこぼ

夜の木に鳥がたくさんゐて涼し  堀下翔

風に色なくて荷風の文庫本  媚庵

脣が切れて血の味流れ星  仲寒蟬

街ごとの肺活量や天の川  佐藤文香

空蟬の中のかすかな砂うごく  男波弘志

月白の回転木馬触れ合わず  月野ぽぽな


「小熊座」平成26年10月号

2014-10-07 | 俳句

こおろぎの声転がって露無辺  高野ムツオ

日本の臨界点に水を打つ  栗林浩

小路から大路へ抜ける大暑かな  渡辺誠一郎

夏座敷風は黙より生まれくる  佐藤成之

特集 日下節子句集『店蔵』書評

 満開の笹百合・・・・石母田星人(「滝」「俳句スクエア」)


「海程」2014年10月号

2014-10-01 | 俳句

腕に蝉大和は岩と女人の国  金子兜太

生臭く小さく人間蝉しぐれ  同

涅槃西風食うため海へ出てゆけり  武田伸一

もつれゆく先頭ありて蟻の道  山中葛子

黙っていれば花いちもんめあげる  河西志帆

 特集記事・海程全国大会 in 箱根

  第二日/第二次句会「憂いと詩性と」五島高資

  第二日/有志吟行③「小田原城の楊枝サムライ」室田洋子 ほか

 

海程全国大会 in 箱根 第二次句会・金子主宰入選作品