現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。

「槌」No. 150

2014-12-11 | 俳句

天空は時の器や黒揚羽  小檜山繁子

曼珠沙華黄泉平坂まで咲けり  同

裏白の乾く葉先の微震かな  石井薔子

十月の影を卍に阿修羅像  対馬智恵子

もとよりの川があるからさくらかな  古川塔子

 


「山河」第330号

2014-12-11 | 俳句

野薊と別の時間を開封す  松井国央

水洗いして大根を無罪とす  同

流氷の軋む岬や鉄路果つ  泉信也

鉛筆をとがらせる朝霧に向けて  加藤絵里子

はらからや分水嶺の蝉時雨  井元一

時満ちることなし山に雪残る  高野公一

たのしひの昇る途中の竹を伐る  竹腰素

一瞬にやっと近づく枯蓮  山本敏倖


 


「鷹」平成26年12月号

2014-12-08 | 俳句

朝寒やスリッパ鳴らす寺男  小川軽舟

朝日また夕日に似たり破芭蕉  同

水破り錨出てくる秋暑かな  奥坂まや

ビル街の月光の水圧を行く  同

密柑山眩しきままに日は沈み  柳克弘

鳩の中歩み長月果てにけり  永島靖子

鳥兜一口乗せてもらひけり  加藤静夫


「香天」2014年11.12月号

2014-12-08 | 俳句

はじまりの一本離れ曼珠沙華  岡田耕治

それからを温めている石榴かな  同

街に居て静かになりし天の川  同

秋旱海の底へとおよびたる  同

いくたびかドア開いている初時雨  同

沈む陽に躓くことも冬の人  安田青彦


「里」2014年12月号

2014-12-08 | 俳句

谷底の空の末廣十二月  島田牙城

菊農家長兄なりし検査技師  海野良子

葉脈は楓の裏につづきけり  堀下翔

鰯雲ふらふらゆけば橋がある  小林苑を

月光の冴えたり粗大ごみ置場  媚庵

茸食ふ茸のやうな頭の子  仲寒蟬

盛り塩は置かれたばかり実南天  天宮風牙

雨のなか車輌をつなぐ冬になる  佐藤文香

月あげてまだ来ぬ夜を雁渡る  谷口智行

曼珠沙華の向かうの曼珠沙華を見る  男波弘志

冬晴の大きなしだれ桜の木  上田信治

曼珠沙華咲く青空を壊しつつ  月野ぽぽな